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西宮人 vol.2|CHIZUKO SHIGETA

profile

繁田 千都子さん

兵庫県立西宮高等学校音楽科を経て大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。 母校 西宮高校で教諭として勤務の後、イタリア ミラノにてスカラ座副指揮者ダンテ・マッツォーラ氏の元で研鑽を積む。オペラでは、「愛の妙薬」「クリスピーノと不思議な女(日本初演)」「椿姫」「ジャンニ スキッキ」「カルメン」などで主要キャストとして出演。 コンクールにおいては、第5回 フランチェスコ アルバネーゼ声楽コンクールにてオペラアリア部門プロローコ賞 及び歌曲部門 最優秀賞受賞、第15回 チェコ音楽コンクール 3位ほか 国内外にわたって多数受賞している。 大阪音楽大学演奏員、上方オペラ工房メンバー、横浜シティオペラ会員、vocal-unit-sakuraメンバー 日本演奏連盟会員、西宮音楽協会会員

ENA

西宮にゆかりのある、活躍されている方を紹介する「西宮人」第二弾!
関西を拠点に活動されている声楽家の繁田 千都子さんです。西宮音楽協会の役員としても活動されています。
本日はよろしくお願いします!

繁田さん

こちらこそよろしくお願いします!

ENA

早速なんですが「声楽家」という職業について、正確にイメージすることができる方はあまり多くはないように思います。どんなお仕事なのでしょうか?

繁田さん

クラシックの歌曲やオペラやカンツォーネ、様々なジャンルのものを歌い、オペラやコンサートの舞台で披露しています。年によってオペラが多かったり、コンサートが多かったり様々で、今年はコンサートがほとんどです。普段は本番にむけての稽古やレッスン、また、近年では演奏会などの企画を任されることも多くなり、会議に出席することも増えました。

ENA

では普段の1日のスケジュールってどんな感じですか?

繁田さん

月に数日は家のレッスン室にこもりっきりで、一人で譜読みしたり、歌っては修正を繰り返す日もありますが、忙しい日には一日中動き回って歌っていることもあります。例えば、午前中に京都でアンサンブルの練習、一旦帰って午後に西宮でレッスン、会議、そして夜にオペラの稽古なんて日もあります。

ENA

めちゃめちゃタフですね!その原動力って何からきているんですか?

繁田さん

やっぱり「音楽」です。やりたいというより、与えられたチャンスをきちんとやりきろう!という感じですね。歌い手というのは声を失ったら終わってしまう職業なので、そうなったときに何か一つでも音楽の一周外枠のところから関わって、誰かのためになれる仕事ができればいいなと思っています。数年前から西宮音楽協会で役員の一員に加えていただき、演奏会の企画や運営にかかわる機会もいただいたりして、そのたびに音楽によって人の輪が広がることを実感しています。

ENA

教員を退職されてからイタリアへ留学されていますね。どうでしたか?

繁田さん

正直大変なこともありましたよ!現地の居住許可の窓口となっている警察官とバトルしたり(笑)。
それでも滞在半年で、私はこっちの生活が合ってると感じていました。
いろいろな面でキチンとしていて、まっすぐな直線で描けそうな感じのする日本より、たまにグチャっとした曲線や、予期せぬ点線がある(!)イタリアのほうが、いざ出来上がってみるとスケールが大きくて色濃くって温度感の熱い感じ。そういう感覚を得ることができてから、イタリアに住みたいと思うようになりました。

ENA

イタリアではコンクールを受けていたと思うんですが、どんな感じでしたか?

繁田さん

イタリアのコンクールは、ナポリの近くの田舎町で開催されたものにチャレンジしました。コンクールは歌曲の部門と、オペラアリアの部門二つが開催され、私はどちらにもエントリーしました。
一次予選、二次予選、本選とあるんですが、一次予選の前日に現地入りした際に、海岸線を散歩しながら翌日からチャレンジする曲を軽く歌っていました。
すると後ろに数人の紳士がついてきており、気になりつつ散歩を続けていると気づけば20人近くのダンディーズが!!東洋人の女の子がひとりで危ない目にあったらいけないから心配でついてきたものの、鼻歌歌って楽しそうだし声をかけてみようとなったみたいです。明日からのコンクールのことを話すと「じゃあここで歌ってきかせて!一度歌っておくと明日はリラックスして楽しんで歌えるよ!」とおじちゃん達。広場で私が歌うと、続いておじちゃん達も次々と歌いだし、夕暮れ歌合戦のようになりました。

繁田さん

一次予選、二次予選も無事通過し、ついに本選。
本選は公開だったので地元の人たちも多く聴きに来ていました。そして私の番がきて舞台に立つとびっくり。数日前の散歩のときにラフな格好で即席歌合戦をしたあのおじちゃんたちが大勢、ビシッと素敵なジャケットを着て座っていたのです。
終えて話をしに客席へ行くと「きっと本選に出るだろうと信じて応援に来たんだよ!」「うちの家族や近所の人にも、君のいい声を聴かせたくって連れてきた!」なんて嬉しいことを言っていただき、結果はオペラアリア部門では入賞、歌曲部門では審査員の得点にプラスして、聴衆が選ぶ最優秀賞をいただきました。
その晩はたくさんの知らない方たちと、そして一次予選から一緒に競い合ってきたほかの歌手の方たちと明け方までお祝いし、おいしいナポリの田舎料理とワインを堪能しました。

ENA

すごく素敵なエピソード!まさに音楽で人の輪が広がったのですね!
日本ではオペラのオーディションを受けていたと思うんですが、どんな感じでしたか?

繁田さん

日本のオペラのオーディションでは、演出家や指揮者、制作総括者などによって審査されることが多いです。オーディションでは課題曲を演奏したあと、別の役の曲を歌うよう言われたりすることもありますし、演出家から「本を読みながら歩くお芝居をしてください」と急に言われることもあります。どうしよう!?と戸惑うこともありますし、ワクワクしながら思いつくままやってみることもあります。

ENA

歌以外の演技力を求められることもあるんですね!
イタリアでの留学は、その後の声楽家としての人生にどんな影響を与えましたか?

繁田さん

世界のトップで活躍している素敵な先生方との出会いが大きな影響を与えてくれました。その先生方から頂いた言葉で今でも心に残っている言葉がたくさんあります。
「何があっても歌うと決めたら歌う」
歌が上手い人はいっぱいいて、声がいい人もいっぱいいる。その中でも自分が歌で食べていくと決めたなら何があっても歌いなさいと。背中を向けず、ベストのもうひとつ先を目指すことを常に意識するようになりました。
「食は楽器への栄養、経験は歌い手への栄養」
食べることが基本。食べなきゃ楽器は育たない。心を育てるためには、もっと何かを感じて、もっと喜んで、もっと苦しんで、人に対して表現したいという想いまで育てないといけないと学びました。
「まずは歌い手のスイッチを作り上げなさい」
今日ここで歌えることは恵まれいるんだっていうことを認識して、歌うという「スイッチ」を押すんです。
この言葉たちは世界のトップにいる先生方が共通して言っていたことです。

ENA

直近の目標はなんですか?

繁田さん

歌を聴いて、何だかほっとする、自分の思い出にタイムスリップするとか、そんな力が音楽にはあると信じています。でも生の音楽を聴く機会ってあまりないですよね?なんか難しいんちゃうかなとか堅苦しいんちゃうんかなとか。漠然としてるんですが、そういうイメージを打ち破っていきたいと思っています。もっと気軽にふらっと「こんなんやってるんや!寄ってみよう」みたいな感じで聴いてもらって、次もまた聴いてみたいって思ってもらいたい。そういう機会を増やしたいと思っています。

ENA

オーケストラとかは行ったことあるんですが、オペラとなると見たことないんです。
でもオペラの言語はやっぱりイタリア語ですよね?難しそうなイメージが、、

繁田さん

イタリア語ですね。でも最近は舞台のサイドや上に日本語の字幕がでるので心配いらないですよ。
クラシックって、ちょっと難しそうと思われがちですが難しくないんです。だって今やってることも100年したらクラシックになるんですから。
その当時は最先端で、今で言う「映える」流行りの衣装きたり、その当時起こった時事ネタを取り入れていたり、オペラにはそういう遊びもあって面白いですよ。

ENA

なるほど!そう聞くと見てみたくなります!
これをきっかけに本格的な音楽に触れてみようと思いました。

繁田さん

本格的!って思わなくていいんですよ!もっと気楽でいいんです!
西宮ってそういう環境に踏み込まなくても、音楽に出会えるきっかけ作りをしているんです。
あっちこっちでまちかどコンサートをしてるので是非そういう機会があれば足をとめて聴いてみてくださいね。

ENA

繁田さんが出演されるコンサートがこちらです!

CONCERTO DI DUE LEONESSE VOL.8

2019年9月23日 (祝月) 14:00開演 @世良美術館サロン
【プログラム】
木下牧子作曲 月の角笛
月の沙漠
ミュージカル キャッツ〜メモリー
ほか

みんなのサロンコンサート

2019年11月2日(土)14:00開演 @西宮市民会館1F大会議室
<古今東西うためぐり>
「ふるさとの四季メドレー」や世界各地の歌、オペラの名曲など

《チケット販売》
入場料 一般   1000円
    小学生以下 500円
西宮市民会館 0798-33-3111
西宮音楽協会 0798-71-1697

JANTI AUGURI ROSSINI

2020年2月29日  (土) 14:00開演 @世良美術館サロン
ソプラノ×フルート×ピアノ トリオコンサート
【プログラム】
​ロッシーニ
 踊り〜ナポリ風タランテッラ
 オペラ セヴィリアの理髪師より「今の歌声は」
 老いの過ちより「ロマンティックな挽き肉」
サン=サーンス
 見えない笛
      ほか

繁田さん

2001年結成のヴォーカルユニットSAKURAは、関西を中心にホール、サロン、美術館などでコンサートやイベント、パーティー、ディナーショー、クリスマスショーなどに出演しています。
また、「本格的なコンサートホールに足を運ぶことはできないけれど、生の音楽を楽しみたい!」という方たちの声にお応えして、病院、福祉施設、教育施設やプラネタリウムへの出張コンサートも数多く行っています。
2017年3月にはリクエストの多い曲をチョイスしたセカンドアルバム「つながる」をリリースしました。

ENA

ありがとうございます!
それでは最後に西宮の好きなところとおススメのお店を教えてください♪

繁田さん

西宮は海と山があるところが好きなんです。ナポリにも似てますしね。
程よく自然があり、都会にもアクセスしやすくとっても住みやすい街です。
おススメのお店は夙川にあるイタリアン「アルテシンポジオ」さんです!
是非行ってみてくださいね。

ENA

行ってみますね!
★アルテシンポジオさんの紹介ページはこちら★

生の音楽に触れたくなるようなお話がきけてわくわくしました!
本日はありがとうございました!

この記事を書いた人

ENA

編集長

みやっこ歴は約10年。 西宮の色々な魅力をもっとたくさんの人に知って欲しい! そんな想いで私なりの西宮の楽しみ方を発信していきます。

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