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西宮人vol.10 YOSHIHISA SHUMIYA

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朱宮 嘉久(しゅみや よしひさ)

西宮市大社小学校地域学校協働活動(コミュニティ・スクール)推進員

2019年度 大社小学校PTA会長
2021年度~ 地域学校協働活動(コミュニティ・スクール)推進員

会社員。
大社小学校の児童2人の親でもある。

西宮人の10回目では、2021年度より大社小学校区の地域学校協働活動(コミュニティ・スクール、略称:コミスク)推進員として、 地域、学校、保護者を繋ぐ立場で活躍される朱宮(しゅみや)さんにお話を伺いました。

コミュニティスクールは文部科学省の推進する学校運営協議会制度です。朱宮さんは大社小学校にお子さんがおり、地域のコミスク推進員としての活動をされています。不勉強でなかなか実態を理解できていなかったコミスクの制度や活動内容、考えていることなどについて、詳しく教えていただきました。

コミュニティ・スクールってどんな取り組み?

コウヤマ

よろしくお願いいたします。

早速不勉強で申しわけないのですが、コミスクについて概要を教えてください。

朱宮さん

コミスクは学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための取り組みです。

西宮市においても大社小学校をはじめ現在24の小・中学校にパイロット校として導入され、令和5年度(2023年度)までに特別支援学校や高等学校を含むすべての市立学校(幼稚園を除く)への導入が計画されています。

参考:文部科学省「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)|西宮市ホームページ (nishi.or.jp)

朱宮さん

コミスク推進員は学校、地域、保護者を繋ぎ、コミスク全体の活動を推進する役割を担います。主に子ども達をとりまく課題解決や、子どもの達のプラスになる活動などを行うことで、学校、地域、保護者/子ども達がwin-win-winになる活動を推進しています。

コミスク推進員になったきっかけ

コウヤマ

朱宮さんが大社小地区のコミスク推進員になったきっかけを教えてください。

朱宮さん

2019年度に大社小学校のPTA会長を行ったことがきっかけで、その後に当時の校長先生からコミスクの推進員をやらないかというお話を頂きました。

PTA会長については、どなたかから推薦されて引き受けたのですが、どうせやるなら色々と改善しようと考えました。PTAって、大変な役割ってイメージがありますよね?当時、実際にやることが非常に多く大変だったんです。

そこで、PTAの仕事をもう一度見つめなおしてみました。普段、会社員として働いている視点で見ると多くの改善すべき点に気付いたんです。やらなくていい仕事、もっとシンプルにできる仕事がたくさんある、って。

それで、当時のPTA役員の皆さんに「これまでの仕事を漠然とそのままやるのではなく、効率化できることや不要な業務はどんどん整理して、改善していきませんか」という話を最初にしたところ、みなさん共感してくれ、多くの活動を整理できました。

例えば、学校ホームページにPTAのページを作ってPTA便りやPTA会則等を掲載することで印刷の業務を削減したり、保護者で実施していた校内パトロールの必要性を議論して廃止、打ち合わせでは事前にアジェンダを作って短時間で会議が終わるようにしたり、外部イベントへの参加者の見直しなどを行いました。

朱宮さん

その結果、PTAの活動の効率化、スリム化をすることができました。
また、一番大きかったことはなんでもやるPTAから出来ることを効率的にやるPTAへと意識を変えることができた点と思っています。

さらには、地域の方々との交流もでき、よい関係が築けました。

この取り組みは、次年度以降のPTA会長さんも共感してくれ、引き継いでくれています。

その後、2021年度から大社小がコミスクのパイロット校に選ばれるという話があがってきまして。当時の校長先生にコミスク推進員をやらないかと声をかけていただきました。

そんなこんなで私と以前大社小学校で校長先生をやられていた方の2名で推進員を引き受けることとなりました。

コウヤマ

PTA会長としての実績を見込まれての依頼だったんですね。

朱宮さん

それもあるかもしれませんが、地域の方々とよい関係ができていたことが大きかったと思います。

もともとこの地域ではコミスクの考え方に近い地域の様々な組織の代表が集まる大社越水会という団体がありました。PTA会長をやっていた時に大社越水会の会長さんや地域の方々と仲良くなっていて、今のコミスク推進員としての活動がスムーズに行える大きな力になっていますね。

PTA会長もなんだかんだやってみたら周囲の方に喜んでもらえましたし、自分の成長にも繋がりましたので、もう一度そういった役割をやってみようかと思えました。

コミスク推進員とPTA会長で大きく変わったこと

コウヤマ

コミスク推進員とPTA会長、どんなところが違いますか。

朱宮さん

そうですね。コミスク推進員は取り組みの範囲が広い点が大きな違いです。

PTA会長はあくまで学校内での活動が中心となり、学校外での活動への影響は限定的です。
コミスクでは地域、学校、保護者の三者に働きかけて動くことになり、それぞれを結び付けた取り組みができます。

例えば、地域の方を学校行事に来ていただいたり、学校の授業に地域の方に登場してもらったりできるんです。

活動範囲に制限がないことがコミスクの面白いところだと感じています。

コミスクで進めている施策とその状況

コウヤマ

実際に朱宮さんが2021年度からコミスクで取り組まれている施策について、概要と状況を教えてください。

朱宮さん

大きく7つの取り組みを行っています。今、小学校に関して困っていることの解決、地域との交流を通した学習機会の提供など、複数の視点から上がってきた課題、アイデアを整理、検討してこの7つに重点的に取り組んでいます。

①学校、子どもたちの様子をより地域の皆さんに知ってもらう
②平和学習
③昔遊び
④昔のお話
⑤キャリア教育
⑥不登校、発達課題、学習支援
⑦田んぼの移転、拡充

コミスク推進員だけでこれらを実現することは不可能です。地域、学校、保護者の三者の協力、支援をあおいで、取り組みを実行に進めることを心がけています。活動にあたってはロードマップを作って見える化して進めています。

朱宮さん

①~④については、すでに実行に移せています。しかしながら、コロナ禍もあり延期や中止になっているものもあります。基本的に安全第一なので、無理に実施することはせず学校と相談しながら慎重に進めています。

⑤のキャリア教育では、学校、地域の方々と連携し、子どもたちに仕事のやりがいや夢、キャリアについて伝える授業を企画しました。

地域の方を講師として招き、仕事について6年生向けにお話しいただく授業を2月18日に予定しています。ドローン操縦士、消防士、キッズアートクリエーター、パン職人、獣医さんなど夢を持ってお仕事をされている魅力的な地域の方に来ていただけることになっています。

また、開催にあたり私から事前授業を行い、キャリアについてのぶっちゃけ話、仕事について早い段階から考えることの重要性等を伝えています。

子ども達がキャリアについて考えるきっかけになればいいなと思っています。

朱宮さん

⑦田んぼの移転、拡充

大社小では校庭にある2畳ほどのスペースを田んぼとして利用しています。現状では非常にスペースが限られており、割れてしまって使えていないビオトープを田んぼに変え、有効活用できないかを検討しています。

予算面の問題など、色々と課題はありますが、お米作りを本格的に授業に取り入れることができれば非常に面白い授業ができると考えています。時間はかかると思いますが実行していきたいと考えています。

朱宮さん

⑥の「不登校、発達課題、学習支援」は、実際に学校現場で今起きている大きな課題ですね。一方で、実現へのハードルも高い課題です。

不登校の子どもは年々増えており、学校側でも重要課題として捉えている一方で、西宮市のサポート体制は限定的です。

誰がどのようにサポートするかという体制、仕組みが十分に整えられておらず、個別に先生方が対応いただいているのが現状です。

そこで、まずは不登校児童の居場所作りをすることにしました。学校から部屋を借りて、待機部屋として使わせてもらっています。

居場所を作るところまでは動けているのですが、大きな課題が残っていまして、それがサポートする人材の確保です。

現状、教頭先生や学校職員の方に、時間が許せば待機部屋に居ていただいていますが、この体制では安定しないんですね。

そのため、サポート人材を確保したいと考えています。具体的には西宮市大学交流協議会とも連携し、ボランティアを募ろうと考えています。

有償ボランティアの形がとれると一番よいのですが、現状では西宮市の予算はついておらず難しい状況です。

朱宮さん

コミスクは教育現場の声を自治体(市)に還元できる立場ですので、声を上げて、この辺りのサポート体制が今後充実していくとよいと考えています。

不登校以外にも、学習支援が必要な子ども供に向けてのサポート、放課後の児童の居場所を作ることにも取り組んでいます。

難しい課題ですが、学校側とも大いに協力して進めているところです。

コミスク推進員としての経験で得たもの

コウヤマ

コミスク推進員をされてきたことで朱宮さんにはどのような影響や変化がありましたか?

朱宮さん

一つは生活に大きな柱ができたという点です。仕事、家庭、趣味に次いで4つ目の柱として「地域活動」が加わりました。生活の充実に繋がっています。

また、本業で学んだプロジェクトマネジメントなどのビジネススキルがコミスク推進員の活動にも活きており、社会人としての自己成長にも繋がっていると感じています。

さらには、そもそもコミスクの活動が、子ども達の成長に繋がる活動であるという点に大きなやりがいを感じています。

地域、学校、保護者が一体となって活動することで、学校だけでは解決が難しい課題の解決や、これまでにない面白い事ができると考えています。

コウヤマ

コミスク推進員をされることで、地域への貢献と自己の成長の両方を実現されているんですね!

お忙しい中、ありがとうございました。今後の活動についても、ぜひ取材に伺わせてください。

・大社小コミスクのお問い合わせ先

コミスクHP(大社小HP内) http://kusunoki.nishi.or.jp/school/taishae/

推進員へのお問い合わせ: taishaesui@nishi.or.jp

この記事を書いた人

コウヤマヒロシ

ライター

西宮在住10年くらいの兼業主夫ライターです。 二児の父。 地元の方から教わったお店や子供と遊べるスポットなど、フットワーク軽く発信していきます。

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