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西宮人vol.11 KITAZAWA MITSUHIRO

Profile

北澤 光大

2003年から介助犬訓練士養成塾で訓練を学ぶ。2005年に兵庫県西宮市で兵庫介助犬協会を立ち上げる。2006年兵庫県から認証を受けて特定非営利活動法人となり理事長に就任。全国各地の身体障害者に介助犬を提供。訓練、介助犬使用者への指導、啓発活動、次世代を担う訓練士の養成、法人の運営等、様々な業務に携わる。

ENA

西宮にゆかりのある、活躍されている方を紹介する「西宮人」第10弾!
兵庫介助犬協会 理事長の北澤 光大さんです。

れおずかふぇさんで介助犬について知りご紹介いただきました♪
介助犬についてや取り組みについて詳しくお聞きしたいと思います!

本日はよろしくお願いいたします!

北澤さん

よろしくお願いします!

ENA

最初の質問なんですが、兵庫介助犬協会ってどんな団体ですか?

北澤さん

障がいのある方から介助犬と暮らしたいというご要望をいただいて、介助犬の適応となる方であれば、介助犬を貸与するという取り組みをしています。
今こちらの事務所では、6頭の犬が介助犬を目指して訓練を行っていますよ。

事務所の周辺で訓練中

ENA

よくこの周辺を車いすと介助犬で歩いているのを見かけます!
訓練中だったんですね♪

北澤さんが介助犬に携わろうと思ったきっかけは何ですか?

人も犬もお互いが必要としあえる関係

北澤さん

もともと獣医になりたかったんですが、偏差値が足りないと分かり挫折しました。
それでも動物に関わる仕事がしたいなぁと思っていた大学生の時に、ネットで介助犬について知り、調べているうちに介助犬のユーザーの方のブログを見るようになったんです。
そこには「介助犬のお世話はできる限りユーザーの方が自分でしていて、そうすることで犬との信頼関係をしっかり築くことができ、介助犬としてお仕事をしてくれる。」ということが書かれてありました。
もともと犬が好きだったんですが、人も犬もお互いが必要としあえる関係が人と犬にとって一番いい関係だと思って。介助犬みたいな犬と飼い主が増えたらいいなぁ、もっと広めたいなと思ったのがきっかけです。

ENA

確かに理想的な関係ですね。
そこから兵庫介助犬協会に入ったのですか?

北澤さん

実は兵庫介助犬協会の設立時から関わっており、立上げメンバーのひとりなんです。

もともと京都の介助犬訓練士の養成塾で、介助犬のトレーニングを学んでいました。そこでは私も訓練犬を担当しており、介助犬をお渡しする障害のある方とも関わりがありました。
しかしその養成塾が続けられなくなり、2年間学ぶ予定が1年3か月の時点で10人の同期と共に辞めないといけない状況になりました。
私たちだけでなく、犬と介助犬を希望する障害のある方もそのまま残されてしまったので、熱意を持った同期10人と「自分たちでやろう!」と準備を始めたのが最初のきっかけです。

ですが最初はお金もないし、場所もないし、犬を導入するつてもないし、何もない状況だったので、だんだん諦めて離れていく人もいました。
最終的に僕ともう一人の立ち上げスタッフだけが残って、介助犬協会を立ち上げることになったんです。

ENA

協会の立ち上げから!最初はかなり険しい道のりだったのではないですか?

北澤さん

そうですね。設立してすぐの時は介助犬に携わることを仕事として、給与をもらいながらできる状況ではなかったので、他に仕事をしながらボランティアでこの介助犬の育成をしていました。

自分の生活費を稼ぐために深夜のコンビニで週4日アルバイトをして、その稼いだお金の一部を兵庫介助犬協会に寄付をして、その寄付したお金で運営をするという状態でした。

ENA

離れていく人がいたり、設立後も厳しい状況の中でここまで続けてこれたモチベーションは何ですか?

厳しい状況の中でも貫いた「介助犬を増やしたい」という信念

北澤さん

当時(2005年)は日本に30頭くらいしか介助犬がいなくて、どうやったら介助犬を増やしていけるのだろうと育成に携わっている人たちは考えていましたが、私自身介助犬を普及させるためにもっとこうやったらいいのになという想いがありました。

介助犬養成塾を辞めてから、他に育成しているところに就職する手もあったのですが、それぞれの考えで運営しているところに就職すると、自分が考えていることを実現させるのが難しくなってしまうと思い、自分たちで立ち上げました。

北澤さん

立ち上げたからには、実現させたい!そういう気持ちで頑張ってきました。

実現させたいことのうちのひとつは、同じ介助犬育成事業との横の繋がりを広めることです。介助犬育成事業って全国にいろいろあるのですが、それぞれが独立して運営していてあまり横の繋がりがないんです。その横の繋がりをもっと広めることで、介助犬を増やすことができるのではないかという想いがあります。

もうひとつは、介助犬トレーナーを”仕事”にする、ということです。
当時介助犬育成している団体はボランティアで成り立っているようなところがほとんどで、うちもそうでした。ですが、家庭を持ったり子どもができたり人生のターニングポイントが来るとどうしても続けることが難しく辞めてしまう人が多いので、ボランティアでは運営していけないんですよね。

なので、介助犬のトレーナーや育成をある程度のレベルの”仕事”にしないと、介助犬はもっと世の中に広まらないという想いがありました。

ENA

そういう強い想いがあったからこそ、乗り越えられたんですね!

盲導犬はなんとなくわかるのですが、、、
介助犬について知らない事が多いので詳しく教えてください!

北澤さん

介助犬は手や足が不自由な方、車いすで生活している方、杖を使って歩く方の手や足の代わりになるお手伝いをします。

車いすで生活している方は足が不自由なので、落としたものが拾えなかったり、拾おうと前かがみになった時にバランスを崩して転倒してしまうことがあります。そしてそのようなことが起こってしまうのではないかと常に不安を感じてしまって、ひとりで外出しづらいんですよね。
なので家族やヘルパーさんに付き添ってもらうことで、ようやく安心して外出することができるという状況なんです。ですがその場合、事前に「何日の何時からお願いします」とスケジュールを調整しておかないといけないので、「今日は天気がいいからちょっとお出かけしたい」というのができず、ひとりで外出しづらくなってしまいます。

そこで介助犬は落としたものを拾ったり、車いすで乗り越えにくい段差やスロープがあると車いすを引っ張ったりします。障がいのある方がひとりでどこへでもお出かけできるようにお手伝いするのが、介助犬のお仕事です。

介助犬の存在が安心・安全な暮らしにつながる

北澤さん

外出だけではなくて、家でひとりで留守番するのも障がいのある方にとっては勇気のいることだったりします。例えば、トイレで車いすから便座に、横になろうとベットに乗り移ろうとする時など、移乗をするときに転倒のリスクが高まると言われています。

一度車いすから転倒してしまい尻もちをついた状態になってしまうと、腕の力だけでなかなか戻れない方も多いので、家族が帰ってくるまでトイレの床で転倒したまま、待たないといけないという状況にもなりかねないんです。そういう時に介助犬は携帯電話をくわえて持ってきてくれるので、家族や近所の人に連絡して助けを呼ぶことができます。

ENA

なるほど。介助犬がいてくれることで、ひとりでも安心して過ごせるし、ひとりでお出かけもできる。そのためのお手伝いをしているんですね!

北澤さん

そうですね。
他には靴や靴下を脱ぐ、上着を脱ぐ、ドアや窓の開閉などの介助動作をする介助犬もいます。

ENA

え!介助犬によって違うんですか??

北澤さん

そうなんです。人によって障がいの種類や程度が違うので、その人に合わてオーダーメイドに訓練されているのが介助犬の特徴です。
どの犬もある程度のところまでは訓練は進めて、介助犬をお渡しするユーザーが決まるとヒアリングをして、その方に合わせた介助動作をカスタマイズして訓練を行います。

ENA

ユーザーによって介助犬のお手伝いする内容も違ってくるなんて知らなかったです!考えてみれば、障がいの種類も程度もひとそれぞれですもんね。
ちなみに介助犬が一人前になるまで、どのくらいの期間が必要なんですか?

北澤さん

介助犬の訓練が1年半~2年、ユーザーが決まってからその方の障がいに合わせてカスタマイズした訓練が約6か月かかります。

訓練された介助犬をお渡しして終わりではなくて、これから介助犬と共に過ごすユーザーへの指導も必要不可欠なんです。介助犬への指示の仕方、お世話の仕方、施設や公共交通機関で周りにどういった配慮が必要かなど、合同訓練を行います。そしてユーザーと犬がペアになって認定試験を受け、合格になった後に介助犬として活躍しています。

ENA

介助犬として活躍するまでに約2年もかかるのですね!
育成する中でどのような人たちと関わりがありますか?

様々な人の関わりで成り立つ介助犬

北澤さん

まず候補犬の子犬は生後2か月から1歳過ぎまでパピーウォーカーさんに預けられ、人と暮らすのってこんなに楽しいんだというのを経験させてもらいます。人と暮らす上でのマナーや、いろんな所に連れて行ってもらって人間社会の音に慣れたりすることで、”犬を社会化させる”のをパピーウォーカーさんにしてもらいます。

1歳過ぎてから兵庫介助犬協会に戻って約2年、私たちが訓練をするのですが、ここでもボランティアの方にお手伝いしていただいてます。
例えばシャンプーや犬たちのお部屋の掃除などの犬のお世話をしてくれたり、ドックフードを用意してくれたり。

他にも「ハッピー通信」という会報を発行しているのですが、そのレイアウトデザインをしてくれる方や、介助犬が着ている服を犬に合わせて一着ずつ縫ってくれる方とか。
その人の趣味や特技、スキルを活かした内容のボランティアを皆さんにお願いしています。

ENA

いろんな方との関わりがあって介助犬の育成があるんですね。
他にもれおずかふぇさんのオズ君のような引退犬の里親ボランティアもいらっしゃいますよね。

ちなみにボランティアの応募はどこからできますか?

北澤さん

ホームページにボランティアの申し込みフォームがあるのでそこからお問合せいただくか、お電話やメールでのお問合せも受け付けています。

当会は介助犬の育成・普及活動と身体障害者への介助犬無償貸与を行う団体です。

ENA

北澤さんの今後の展望を教えてください!

北澤さん

介助犬の育成を皆さんから評価してもらえる仕事にしたいですね。

介助犬トレーナーという仕事があって、こんな役割を果たしているんだというのを皆さんにもっと知ってもらうことで、「介助犬って大事だね」とか「介助犬ってこうやって育てられてるんだ」と思っていただけると嬉しいです。

介助犬の育成は皆さんからのご寄付・ご支援に支えられ運営しているので、より多くの方に介助犬トレーナーの意義というのを認めていただきたいと思っています。

ENA

それでは西宮人恒例の質問!西宮のいいところを教えてください。

北澤さん

西宮に住んで17年になりますが、いっぱいありますよね!
海と山に囲まれて自然が多いとか交通の便が良いとかいろいろあると思うんですが、僕が感じるのは、西宮に住んでいる人って西宮に誇りを持っている人が多いということです。そこがいいなぁと思います。
あとは街の雰囲気や時間がゆったり過ぎていくような感じがあるところです。

ENA

では最後に西宮でおすすめのお店を教えてください!

北澤さん

近所のお好みやき屋さんの「ゆうゆう」です。
お好み焼きももちろん美味しいんですが、生ビールが日本で一番旨い店です!あくまでも僕調べですが(笑)。

ENA

キンキンに冷えたビールとお好み焼きは最高ですもんね!

本日はありがとうございました!
介助犬について知らないこともたくさんあり、とても勉強になりました。

北澤さん

ありがとうございました!

この記事を書いた人

ENA

編集長

みやっこ歴は約10年。 西宮の色々な魅力をもっとたくさんの人に知って欲しい! そんな想いで私なりの西宮の楽しみ方を発信していきます。

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