CULTURE

甲子園辺り今と昔・その2.国道43号線

西宮市を東西に貫く国道2号線。阪神間の年配の方は、たまに「いちこく」と呼びます。国道2号線なのに1国。ちょっと不思議ですね。

実はこれ「第一阪神国道」の略なのです。阪神間の、一番目の国道という意味ですね。単に阪神間の国道だったら「阪神国道」で良さそうなものを、わざわざ第一阪神国道と呼ぶのは、つまり後に第二国道が出来たからです。

開通間もない頃の国道43号線、甲子園球場付近。まだ阪神高速がない

※画像データ・にしのみやオープンデータサイト

https://archives.nishi.or.jp/04_entry.php?mkey=12689  より一部トリミング

では、第二阪神国道とは何なんでしょうか?

それはもちろん、国道43号線です。

令和2年、ほぼ同じ場所から

昭和2年に整備された国道2号線の交通量が、経済の発展と共に増えて道路としての限界が見えてきて、もう一つ太い道路が必要だということで整備が始められました。最初に道路用地を取得し始めたのは、戦後間もない昭和21年といわれています。その後、昭和28年に「二級国道173号線」として国道に指定され、昭和33年には一級国道に昇格、43号線になりました。そして昭和40年、道路法の改正で一級、二級の分類が廃止されて、いまの一般国道43号線として指定されたのです。

建設中の国道43号線

※画像データ・にしのみやオープンデータサイト

https://archives.nishi.or.jp/04_entry.php?mkey=12637  より一部トリミング

開通工事が進んだ当時、こんなに道幅の広い道路はあまりなかったので、近くに住む人たちは「50メーター道路」と呼んでいたという話もあります。

ただ、この立派な道幅の割に、延長は約30キロという比較的短い国道でもあります。起点は大阪市西成区の花園交差点、終点は神戸市灘区の岩屋交差点です。

西宮市内の国道43号線は、もとは中国街道の浜街道、西国浜街道といった道路があったところを辿っています

甲子園球場辺り。阪神電鉄甲子園線を跨ぐために道路が高架で建設された

※画像データ・にしのみやオープンデータサイト

https://archives.nishi.or.jp/04_entry.php?mkey=12649 より一部トリミング

尼崎から西へ向かうと、武庫川の長い橋を越えて西宮に入ります。この橋の街灯なんですが、尼崎側はオレンジ色のナトリウム灯、橋の中央部を越えて西宮側に入ると白い水銀灯に変わります。なぜなのか理由はよくわからないのですが。夜に走ると色が変わったところで「ああ、西宮に入ったな」と感じます。

尼崎側から見た武庫川を渡る橋

そしてそこから5キロ半ほど。左手に西宮市立大谷記念美術館が見えた辺り、たまに右手の中央分離帯にレーダーを置いて速度取り締まりをしているので注意してください。その200メートルほど先、「止まれ」と書かれた赤い旗を持ったおまわりさんが待機している辺りで、国道43号線は芦屋市に入ります。

中央分離帯に設置された看板。万博の頃のデザイン?

国道43号線が完成したのは昭和45年、万博の年でした。余談ですが、国道171号線も「万博道路」なんて呼ばれてましたから、この万博というイベントを機に西宮の道路もかなり整備が進んだということでしょうね。そして昭和56年には国道43号線の上に阪神高速3号神戸線が開通します。以降は「高架下の日陰の道路」になります。広く明るく開放的な国道43号線だった期間って、思いの外短いんですよね。

鳴尾辺り。現在、片側3車線

開通当時の国道43号線は片側5車線ありました。しかしこの太い道路と阪神高速で一気に交通量が増えたことで、沿線では排気ガスの影響で公害病の問題が持ち上がります。それで訴訟になって、昭和57年に車線が一つ削られて4車線になりました。そして平成7年の阪神大震災では阪神高速が倒壊して、その復旧に合わせてさらに1車線削減され、いまでは片側3車線の道路になっています。なお、車線減少で余裕ができた部分は緑地帯になったり、防音壁が設置されたりしています。

制限速度は時速40キロです

車線削減と共に、走行速度を抑えることで排気ガスの排出量や交通量を抑えようということで、国道43号線の制限速度は時速40キロです。ほとんど高速道路のようにカーブが少なく幅も広い道路なのに、この制限速度は明らかに低い設定ですよね。なので知らず知らず速度違反する人も多く、この道路では取り締まりがよく行われています。レーダー式の取り締まりや白バイの追尾に加えて、一般道路としては非常に早い時期に速度違反自動取り締まり装置、通称「オービス」が設置されたことで(一部では)有名です。

自動速度取締装置オービス。現在稼働しているかどうかは不明

以上、今回は西宮市民に馴染みの深い第二阪神国道、国道43号線をご紹介しました。