CULTURE

【博物館展覧会レポ】酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館) 春季展 笹部さくらコレクション 「桜を描く ―三熊派の流儀―」

「酒ミュージアム」こと白鹿記念酒造博物館は「日本にただひとつの『日本酒』と『さくら』の博物館」です。

そんな酒ミュージアムでは、2023年3月18日(土) から春季展として笹部さくらコレクション 「桜を描く ―三熊派の流儀―」 を開催中。桜のみを専門に描いた画派「三熊派(みくまは)」にスポットを当てた、なんとも春らしい展覧会です。

今回なんと学芸員さんに直々に展示をご解説いただきました。その解説や筆者の感想を交え、本展の魅力をご紹介します。

※展示室の写真は博物館の許可を得て撮影・掲載しております。

桜のみを描いた画家たち「三熊派」

桜といえば、言わずと知れた西宮の市花。酒ミュージアムでは「笹部さくらコレクション(西宮市より寄託)」という、文字通り桜にまつわる美術品・資料群を調査・研究しています。今回の展示ではそのコレクションの一部が紹介されています。

※笹部さくらコレクションについてはこちら

酒ミュージアムの展示室の様子

本展で特集する三熊派は、江戸時代中後期に京都を中心に活動していた画派。活動期間はわずか60年ほどですが、みな桜のみを専門に描き、その美を徹底的に追及していた、なかなかトガッた画家たちです。

画派のメンバーは三熊思孝(みくましこう)・三熊露香(みくまろこう)・広瀬花隠(ひろせかいん)・織田瑟々(おだしつしつ)の4人。4人中2人(露香と 瑟々)が女性というのも、当時としては珍しいのだとか。

桜の掛け軸の展示

展示室はひたすら桜!桜!桜 !

日本古来の桜の美しさ・描き方に注目

桜といえば満開のソメイヨシノを思い浮かびますが、実はこの桜が生まれ、全国に広まったのは割と最近(江戸時代末期~明治時代)のことだそう。

そのため、作品に描かれている桜はより古い日本古来の山桜・里桜で、 よく見ると花の形や葉の付き方など、我々がよく知る桜とは異なるポイントが見えてきます。

考えてみれば、桜の花をまじまじと見る機会ってあまりないですよね。

作者によって異なる「桜の描き方と解釈」

一口に“三熊派”といっても、桜の描き方とその解釈には画家によって大きな差があるのもおもしろいポイント。

繊細でやわらかなタッチの桜から、生命力あふれる力強い桜まで、桜のさまざまな魅力・可能性を感じさせてくれます。

繊細でやわらかな思孝の桜
桜を描いた掛け軸の展示
露香の桜。兄・思孝の桜に似た雰囲気があります
当時の朝廷にも認められた花隠の桜

また、学芸員さん曰く「三熊派の作品は写実的ではあるけれど、全く本物そのままに描いているわけではない」とのこと。

桜の個性を尊重し、よく観察して描きつつも、作者ならではの美観も絵に盛り込むという、三熊派画家の芸術家としてのセンスが感じられます。

幹の線が太く、力強い瑟々の桜

まとめ

まもなく桜の開花シーズン。桜が市花である西宮での開催がピッタリの本展は、5月28日(日)までの開催です。

満開の桜並木もいいですが、今年は酒ミュージアムで描かれた桜を眺める“お花見”はいかがでしょうか?

展覧会の詳細は下記ページをご覧ください。
酒ミュージアム 令和5年春季展 笹部さくらコレクション「桜を描く ―三熊派の流儀―」

INFORMATION

酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)

  • 〒662-0926 兵庫県⻄宮市鞍掛町8-21
  • 0798-33-0008
  • 10:00~17:00 (入館は16:30まで)
  • 火曜日(祝日の場合は翌日、連休に含まれる場合は連休明け休館)、年末年始・夏期休暇 ※4/24(月)は記念館展示替えのため観覧不可
  • ①阪神西宮駅から徒歩で15分②阪神西宮駅からバスで5分 交通公園前下車すぐ
  • https://sake-museum.jp/