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喜多向稲荷社(染殿池跡)

阪神西宮駅から東に徒歩10分、市街地の中に松原天満宮とともに静かに西宮の歴史を伝えてくれる神社があります。喜多向稲荷(きたむかいいなり)社です。

この地にはかつて呉織(くれはとり)、漢織(あやはとり)という渡来人の機織りの技術者が住まい、糸を染め、機を織ったと伝えられています。その呉織、漢織を祀った神社が喜多向稲荷社であり、このことが染殿池の由来となってもいます。

喜多向稲荷社は染色織物、呉服、洋服の神として織姫大明神、産業発展と工場安全の神として光玉大明神、衣食住と商売繫の神として宇賀之魂を祀っています。歴史を反映して、紡織に関わる神様を祀っているのでしょう。

敷地はそれほど広くはなく、入り口から鳥居と松が迫ってくるような参道の先には狐様と稲荷社が鎮座しています。眼光鋭い狐様たちが、睨みを効かせてくれているのではないでしょうか。名前の通り、本殿、参道は北に向かって作られています。

他にも、菅原道真が太宰府に送られた際に休憩したという話も伝えられており「菅公舊蹟」を記す碑もあります。さらには、染殿池について読まれた俳句についての歌碑も存在するなど、実は盛りだくさんです。

染殿池は稲荷社の裏側、松原公園の一部にその痕跡をとどめていますが、2020年現在では涸れてしまっているようです。

松原公園には大きな銀杏の木があり、見事な黄葉を見せ、銀杏の実を拾う人の姿もありました。

INFORMATION

喜多向稲荷社

  • 〒662-0912 兵庫県西宮市松原町11
  • 阪神神戸線西宮駅より徒歩10分