CULTURE

西宮自由研究会|日本酒の“香り”と“肌”の秘密を測ってみたpresented by レックス

西宮で計測機器をレンタルする企業 「株式会社レックス」による、西宮をもっと知るための自由研究企画の第六弾です!

「測る・計る・量る」をコンセプトに計測器であんなところや、こんなところ…
普段では目にすることのない西宮の秘密を覗き見していきます。

今回のテーマ「日本酒の“香り”と“肌”の秘密を測ってみよう」

「西宮といえば日本酒!」というイメージを持つ方も多いはず。名水「宮水」が育んだ酒どころにはたくさんの酒蔵がありますが、今回は、その中でも創業130年以上の歴史を誇る「日本盛」さんに潜入!最新の測定器を片手に、日本酒の“香り”と麹に触れる杜氏さんの“手肌”を徹底調査してきました!

日本盛株式会社 公式HP

広大な日本盛さんに行ってきた!

西宮に本社を構える「日本盛株式会社」さんを訪問しました。

到着してまず驚いたのは、甲子園球場と同じくらいの広大な敷地!

正面玄関を入ると、日本盛さんのお酒はもちろん、自然派化粧品の数々がショーケースにずらり。お酒造りの精米で生まれる米ぬかなどを使って、スキンケア商品も販売されているんです。

さまざまな可能性を秘めている日本酒について「今日はどんな発見が待っているのだろう?」と、期待に胸が膨らみました。

今回の企画とメンバー紹介

今回の取材は、㈱レックス2025年新卒メンバーが担当しました。

お話を伺ったのは日本盛の杜氏である中根さん、広報担当の桑名さん、藤野さんの3名。いずれも日本酒への愛情にあふれる笑顔が印象的な方たちでした!

実は、中根さんには西宮人にも登場いただいています!紹介記事はこちら

今回の目的は「測定器を使った自由研究」。使用したのは次の2つです。
·  ニオイセンサー … 香りの強さを数値化
·  モバイルスキンアナライザー … 手の水分量や弾力を測定

ニオイの強弱をデジタル数字で即時表示します。 ニオイの強さを示す「レベル表示」と、人間の嗅覚測定法である「臭気指数(相当値)」表示の切り替えができ、リアルタイムモニタリングモードとバッチ測定モードの2種類の測定モードを搭載しています。

「スマホ感覚」で操作できるタッチパネル式で、「お肌」や「頭皮」を診断し、お客様の説得力のあるスマートカウンセリングが可能です。

ニオイセンサーでは「香りが強い日本酒と控えめな日本酒を比較し、芳醇具合の違いを数値化」。モバイルスキンアナライザーでは「麹に触れる杜氏(日本酒の醸造を担う職人)の手と同世代の手を比較し、肌状態の違いを測定する」という内容です。

日本盛のお三方も、こういった測定機器での検証は初めてとのことで、とても楽しみながら臨んでくださいました。私たちも日頃、実測に携わることは少ないのでワクワクと、うまく測定できるか少しドキドキしながらスタートしました。

日本酒ができるまで 〜並行複発酵の妙技〜

ビールやワインと違って、酒母(もと)に麹、蒸米、水を加えて作ったもろみのアルコール発酵(糖をアルコールに変える)と同時に糖化(でんぷんを糖に分解する)を並行して行う日本酒造り。この技術は「並行複発酵」と呼ばれ、日本酒独特の製法なんです。約60日間かけて完成する日本酒。杜氏の皆さんは、経験と知識や鍛錬された技術をもって、日々日本酒造りと向き合われているんですね。

きき酒の世界 〜“犬の嗅覚”を持つ職人たち〜

きき酒(ききざけ)は、人の五感を用いて日本酒の品質を判定することです。香りを嗅ぎ、そして口に含んで味や風味を確認します。この判定は、作られた日本酒が出荷になるかどうかを左右するとても大事な工程なんです。

きき酒を務めておられる方は、唎酒師(ききさけし)と呼ばれており、現在、日本盛さんには7名の唎酒師の方々がいらっしゃいます。歴は30年を超えており、皆さんベテランの方々です。

中には「犬の嗅覚」と称されるほどの鋭い感覚を持つ方も!

ご自分の感覚を使われる大変繊細な作業のため、きき酒の前日はにんにくを食べないなど、実生活でも細かな気配りをされているとのことでした。

いざ自由研究開始!杜氏の予想は…?

検証に使用するのは、日本盛さんの代表的な6種類の日本酒です。

①超特撰 純米吟醸 惣花(720ml瓶)芳醇な香り、まろやかな口当たり、すっきりした喉ごし。

②「生原酒 本醸造 200mlボトル缶」(白ボトル) コクと旨み豊かな濃醇な味わい

③「生原酒 大吟醸 200mlボトル缶」(青ボトル) 華やかな吟醸香と深みのあるすっきりとした味わい

④「生原酒 純米吟醸 200mlボトル缶」(赤ボトル)純米吟醸ならではのコクと旨み、フルーティーな香り

⑤「はなや香 本醸造」(水色ボトル)すっきり香る、シャープな味

⑥「はなや香 純米」(ピンクボトル) ふくよかに香る、まろやかな味

それぞれの酒質や特徴を踏まえて、杜氏・中根さんに「香りの強さ」について予想を立てていただきました。

順位日本酒名
1位生原酒 大吟醸
2位はなや香 本醸造
3位生原酒 純米吟醸
4位生原酒 本醸造
5位はなや香 純米
6位超特撰 純米吟醸 惣花(720ml瓶)
中根さんの予想順位

吟醸系は華やかな香りを持つ傾向が強く、上位に来るだろうとのことでした。果たして結果は――?

結果発表!予想は大当たり

なんと、杜氏 中根さんの予想が見事に的中!

順位日本酒名臭気指数
1位生原酒 大吟醸1745
2位はなや香 本醸造1704
3位生原酒 純米吟醸1632
4位生原酒 本醸造1607
5位はなや香 純米1382
6位超特撰 純米吟醸 惣花(720ml瓶)1055
測定結果


特に「生原酒 大吟醸」は華やかな吟醸香を裏付ける高い数値を記録しました。一方、「超特撰 純米吟醸 惣花」は香りの数値が低めに。
「超特撰 純米吟醸 惣花」は食中酒として料理の風味を引き立てるために、あえて香りを抑えて設計されているとのことで納得の結果です。

※なお、「生原酒ボトル缶」は火入れ(加熱処理)や加水を行わないため、一般的な日本酒よりもアルコール濃度が高い商品です。
今回の測定結果には、吟醸香のような香り成分だけでなく、アルコール由来の匂いも含まれています。そのため、数値=吟醸香の強さを示すものではなく香りの“総合的な強さ”を示すものとご理解ください。

今回の測定を通して、酒質ごとの特性と設計意図が分かり、日本酒の奥深さを改めて実感することができました。また、中根さんご自身のお気に入りは「生原酒 本醸造」とのこと。王道の味わいを日常的に楽しんでいる様子が伝わってきました。

杜氏の手にはどのような肌状態の特徴があるのか?

杜氏の手は、他の人とどんな違いがあるのか?

続いて行ったのは、モバイルスキンアナライザーによる「手肌測定」です。比較対象は杜氏の中根さん(写真右)と広報の桑名さん(写真左)。同世代の男性の手で比較します。水分量と弾力を数値で比べてみました。

測定項目杜氏 中根さん桑名さん
弾力58「とても高い」30「普通」
水分量50「多い」53「とても多い」

弾力の数値で圧倒的な差が出る結果となりました!

日々麹や米に触れている環境が、手肌に良い影響を与えているのではないかと考えられます。

さらに中根さんに伺ったところ、「麹を素手で触るので出血などの怪我を負わないように気をつけています。冬場も欠かさずケアしています。」

――中根さんの言葉に、職人としての誇りと丁寧さを感じました。

ちなみに桑名さんは杜氏に並ぶ水分量を記録!これは日本盛さんの基礎化粧品を使用されている効果が表れているかもしれませんね!

まとめ 〜香りと肌から見えた日本酒の魅力〜

今回の自由研究では、「香り」と「肌」という、ユニークな切り口から日本酒の魅力を探りました。

 計測器を用いて“数値化”することで、杜氏の経験や技術の確かさを改めて実感することができました。

同時に、数値だけでは表しきれない“情熱”や“こだわり”こそが、日本酒の品質を支えていることも強く感じられました。

さらに、日本盛さんの「サカリクラフト」では、顧客の好みに合わせてオーダーメイドの日本酒を製造されています。

中根さんは、「やはり、お客様のオーダーメイドのお酒が完成して、その方に飲んでいただける瞬間が一番の楽しみですね。実際に飲んでいただいているところを見ると幸せを感じます。」と語ってくださいました。

 次に日本酒を味わうときは、香りや味わいだけでなく、その背景にある造り手の想いにも思いを寄せてみてはいかがでしょうか。

※本記事で紹介した計測結果は、取材当日に得られた数値であり、製品や現象を科学的に立証するものではありません。

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株式会社レックス