CULTURE
2023.01.12
すぬぴ
大社小コミスク|キャリア教育授業2022
2021年に続き、大社小学校のキャリア教育が今年も行われました。今回は、ニシマグ学生編集部メンバー2人もその様子を見学させていただきました。大学3回生で就職活動が始まり、キャリアについて考える時期だからこその視点も交えて報告していきたいと思います。
キャリア教育はコミュニティ・スクール活動の一環として行われています。コミュニティ・スクールとは、地域・学校・PTAが連携する「地域とともにある学校づくり」の取り組みです。
キャリア教育とは?
小学生向けのキャリア教育とは、この記事を見ている方には耳慣れないかもしれません。それは、これまではあまり行われてきていなかったからかもしれません。学生編集部メンバーも1人は似たような授業を受けたことがありました。しかし、もう1人はそのような授業を受けたことがありませんでした。近年、重要視されるようになり、小学校の現場でも行われ始めているようです。
これから進学し、いずれ仕事につく小学生に向けて、講師の方から働くことや仕事のやりがい、夢などをお話しいただき、将来の仕事について考えてもらう授業です。
小学6年生を対象に行われました。これから、中学・高校と自分の進んでいく道を決める時期にあります。「早めに考えて動くことのできる今」だからこその授業です。
地域、学校、保護者の三者を繋ぐコミュニティ・スクール活動の利点を活かし、地域の様々な仕事をされている方をお呼びしてお話しいただきました。
なお、キャリア教育の前にコミュニティ・スクール推進委員の朱宮さんより仕事(キャリア)について早い段階から考える重要性やキャリアに関するぶっちゃけ話の事前授業が実施済みです。
今回の授業では、5名の方にお話を聞かせていただき、その後、質疑応答の流れです。授業は2コマ分で、児童は事前に希望をとった興味のある二人分のお話を聞きに行ける形式でした。
・竹内さん:ドローン操縦士/インストラクター(日本コンピューターネット株式会社)http://www.ncn-drone.com/
・中村さん:マラソン選手・北京オリンピック出場(NOBY T&F CLUB)https://network.osakagas.co.jp/effort/vitality/noby
・米光さん:絵描き/美術教師(神戸女学院)https://note.com/chiemaru7/
・仲川さん:イタリアン料理人(カルボニエラ・デル・トロ)https://toro-toro.jp/
・満田さん:整形外科医師(みった整形外科)
以下、お伺いしたお話を書いていきます。
「どんな仕事でも報酬を得るのは大変」
竹内さんは、昨年もリモートではありましたが、お話を聞かせてくださったお一人です。ドローン操縦士とインストラクターをなさっています。
実際に小学校付近をドローンで撮影した映像を見せてくださることから始まりました。大学受験に失敗したこと、様々な仕事を経て今のドローンの仕事についたことをお話してくださいました。
そして、「どんな仕事でも報酬を得るのは大変」だということ、働くとは「チームプレイが必要」であること。仕事をする上での心構えも教えてくださったように感じます。
さらに、「緊急の際ドローンを使った配達により、人を助けられるように」という目標への挑戦について、動画で説明してくださいました。児童たちが、実際のドローンの活躍を想像することができたのではないのでしょうか。
「自分の好きなことを見つけよう」
中村さんは北京オリンピックをはじめ、大きな大会で成績を残してこられたマラソン選手です。
自己紹介から授業は始まり、まず初めに現役で活躍されていた時代のビデオを見せてくださいました。中村さんの走る姿はすごくかっこよくて児童たちは釘付けになってビデオを鑑賞していました。
中村さんは子供のころからずっと西宮市で育ってきたということもあり、児童たちと同じ小学生の頃に自身が感じていたこと、また中学校や高校ではどのようにして過ごしてきたのか、小学生の子供達が自分に当てはめてイメージしやすいように自身についての話をしてくださいました。
北京オリンピックに出場された中村さんは、小学生の頃から活発で走ることが大好きだったそうですが、マラソン大会ではずっと1位ではなく、6年生で初めて1位を獲られたそうです。
自分の好きなことを見つけ、何にでもチャレンジすること、失敗を悪いことであると捉えないことで夢が叶うという中村さんの言葉は児童たちに強く伝わったのではないかと思います。
「好きという気持ちを大切にしてほしい」
米光さんは、イラストレーターや学校で美術教員をなさっています。
「絵描きさんのお仕事と美術の先生のお仕事ってどんなのだろう。」という紹介から始まり、何のために仕事をするのか子どもたちに聞きながら、ご自身の経験を語ってくださいました。「ええ仕事は産みの苦しみと似ている、仕事を完成させることは大変だけど、命の誕生の瞬間と同じくらい幸せ」という言葉が非常に印象的でした。
さらに、印象に残っているお仕事のお話として、マツゲン先生という49歳でがんで亡くなった先生を肖像画に描いた際のことを語ってくださいました。「写真やったら辛すぎて見れないから絵にしてくれてよかったわぁ」という言葉をもらい、【絵は人々のクッションにもなる】と新たなやりがいを感じたそうです。
米光さんが終始、優しく児童たちに語りかける姿勢や、実際に筆を触れさせて回ったりという行動で、児童たちは興味津々に話を聞いていました。
所々で口にしていた「好きという気持ちを大切にしてほしい」という米光さんの想いも伝わったのではないかと思います。
「何でもチャレンジしてみてほしい」
仲川さんは西宮市のお店でイタリアン料理人としてお仕事をされています。
授業が始まり、お店の名前を出すとさっそく「そのお店に行ったことある!」と児童たちから反応がありました。西宮市でイタリアンを経営されている仲川さんのお店は、児童たちの中でも知っている人がおり、初めからにぎやかな雰囲気であったのが印象的でした。
イタリアで5年間様々な経験や修行をしてこられた仲川さんはその様子を写真と共にお話してくださり、児童たちも興味津々で聞いている様子でした。
「自分が頑張りたいと思うことをしていて、分からないことがあった時には勇気が必要でも、必ず分かる人に聞く。何よりチャレンジすることが大事。」という仲川さんの熱い思いがすごく伝わる授業であったと感じました。
最後の質問コーナーでは、何でも真剣に答えてくれる仲川さんに対し、たくさんの質問の声が寄せられ、児童たちの心を掴んでいる様子でした。
「夢に向かって努力することが大切」
満田さんは整形外科医師としてお仕事をされています。
自身の仕事や骨についてイラストを使ってお話してくださり、その後、医療や医学に関係する歴史人物の話をしてくださりました。
満田さんが医者を目指そうと思ったきっかけは、テレビで緒方洪庵に関する話を聞いて伝記が好きだと気付き、それから頭の片隅に医者になりたいと思うようになったそうです。他にも医者になろうと思ったきっかけや自分の経験についても話をしてくださいました。
医者を目指すために、先輩から責任を持って勉強しなさいと言われ、毎日論文を読む習慣を続けましたがすごくつらかった事もあったそうです。
今までの経験から、1歩1歩の積み重ねを大事にするという「牛歩千里の道」、スポーツをしていても勉強を続けるなど何かあった時のために2つの道を進める「二刀流」という考え方が大事だと仰っていました。
夢に向かって努力されてきた満田さんの言葉には重みがあり、児童たちも真剣に向き合いながら話を聞いている様子でした。
子どもたちの感想
今回の授業で児童たちはどのようなことを感じたのでしょうか?感想を少しご紹介します。
・「好きなことを続けていくことはとても大切ということを聞きました。僕も好きなことはできれば続けていきたいです。貴重な話を聞かせてもらい、ありがたいです。」
・「自分のやっていることに自信を持っているのがすごい。」
・「 キャリア教育では、自分の好きなことに打ち込むことで、楽しい未来が待っているということが分かりました。後小さな目標を積み重ねていくことで、いつか大きな目標にたどり着くようになるということが分かった。 」
・「 この学習を通して、自分の夢について考えて、夢を追っていきたいなと思います。 」
・「 大事なことを見失わない、何を思って仕事を続けてきたかを見失わないなど、とてもためになりました 。」
実際にお話を聞いて、様々なことを感じたようですね。
ドローンでの記念撮影
最後は子どもたちにサプライズでドローンでの集合写真撮影が行われました。天気もよく最高のドローン日和でした。校庭でドローンが飛ぶ様子に子どもたちはワクワクしている様子で、楽しい思い出になったことでしょう。
最後に
私自身、大学3回生で就職のことを考える時期にあります。今どんな仕事が良いかを迷っているため、今回のキャリア教育のお話は、小学生だけなく、大学生にとっても為になるものだと感じました。様々なお話を伺いましたが、講師の皆さんの共通点は「自分自身の仕事に誇りを持っている」ということです。私も自分自身と向き合い、改めてキャリアについて考えたいと思います。(すぬぴ)
様々なジャンルの職業で活躍されている方々のお話を聞き、自身のキャリアについても改めて考える良い機会になったと思います。コミュニティスクールに参加することで、身近な人からはあまり聞けない仕事に対する考え方や意識の持ち方、また夢を実現させるための努力や経験などを知り、キャリアに対する意識の持ち方がすごく変わったように感じます。自分の考えをしっかりと持ち、勇気を出して行動していくことがすごく大切であると感じました。(HANA)
付記:田んぼプロジェクトについて
実は昨年から取り掛かられていたビオトープを田んぼにする計画、今年は予算もつき、土を埋める作業を進めています。
11月某日キャリア教育の前説の日に伺ったところ、ビオトープはきれいに掘り返られており、これから土を入れる作業とのこと
キャリア教育当日にも覗いてみましたが、ある程度の土が入れられた状態でした。
11月には子どもたちを対象とした米作りや生態系についての授業を、12月には子ども達と一緒に土入れ作業を行ったとのことです。
来年は、いよいよ子どもたちと本格的なお米作りがはじまります!稲穂が揺れる姿が期待できそうですね。
下記の画像は2022年度の収穫結果です。
問い合わせ先
大社小学校コミュニティ・スクール推進員(朱宮・中畑)
Mail:yoshi_shumi@hotmail.com
HP:https://www.fureai-cloud.jp/taishae/home/index/man