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JR西宮|いくら時代が変わっても、素朴な老舗のラーメンに勝るものなし

西宮界隈でラーメンといえば真っ先に名前の上がる老舗の一つ。それが光明軒です。

光明軒は、夜から深夜帯でしか営業しないのに昔から変わらず愛され続けるラーメン屋、としても知られています。

深夜にラーメンなんて・・・。そんな背徳感もうっかり忘れてしまう何かがある?

いやもしかすると、分かっていながら誘惑に負けてしまうほどの吸引力が光明軒にはあるのかもしれない。

そんな仮説を胸に、光明軒を尋ねてきました。

JR西宮駅北側すぐの好立地

光明軒はJR西宮駅の北側出口から直進すること、徒歩2分ほどの場所にあります。

夜しか営業していませんが、周囲にあまりお店が無いため、夜道を明るく照らす光明軒の明かりがとても印象的です。

この日も夜の帷が降り始める夕方5時からオープン。営業は深夜まで続きます。

仕事帰りや、遅くまで飲んで帰る日の道すがらを明るく照らし、昔ながらの変わらぬ味で迎えてくれる老舗ラーメン屋です。

光明軒ではメニューを選ぶ必要なし!?

光明軒が他のラーメン屋と一線を画すところ。それは、メニューを選ぶ必要がないことでしょう。

「メニューを選ばなかったら、注文できないのでは・・・?」そんな疑問が湧いて当然でしょう。

しかしご安心ください。来店すると店主さんが「何名様ですか?」と確認してくださいます。
これで注文は完了です。

ますます困惑しましたか。

実は光明軒のメニューは、”中華そば”の一つしかありません。ライスもあるので、締めに食べたい方は追加で注文できますが、それ以外のメニューは存在しないのです。

人数だけ確認して人数分の中華そばを用意する、という合理的なシステムを採用しています。

ラーメン屋というと、数種類のスープが選べたり、トッピングが異なるメニューがあったり。サイドメニューに餃子やチャーハンといったメニューがあるイメージが強いのでは無いでしょうか。

ところがこの老舗ラーメン店では、自慢の中華そば一本で勝負しています。そんな潔さもまた、長く愛される秘訣です。

ファンの心を掴んでやまない中華そば

着席から5分少々で中華そば、着丼です。

醤油ベースのスープは油分も少なめ。

最近は二郎インスパイア系の流れを汲むコッテリ系ラーメンも増えている中、光明軒では関西ならではの、サラッとして誰もが食べやすいラーメンを守り続けています。

麺は中細のストレート麺で、もっちりした食感が魅力的です。

具材もチャーシュー、ゆで卵、炒めたもやし、刻みネギ、味付けのり、とシンプル。

しかしシンプルなトッピングながら、妥協は一切ありません。

チャーシューは箸でつかむとホロホロ崩れてしまいそうなほど柔らかに煮込まれています。

スープはさっぱりした醤油味ですが、トッピングのチャーシューにしっかり味付けされており、食べ方次第で味わいにも変化をつけられる工夫が凝らされています。

一口めではちょっと薄味かな、と感じたスープですが、食べ進むうちにこの濃さでちょうど良いのだ、と納得しました。

最後まで飽きずに、さらにスープまで飲み干したくなるのは、全ての食材が、出しゃばりすぎない加減に調整されているからに他なりません。

長い歴史を経た経験と緻密な計算から生み出される至福の一杯を完食して、地元の人たちや西宮のラーメン通に愛されて止まない理由がよくわかりました。

深夜にラーメンを食べる背徳感すらどうでもよく思える、ほっとする一杯がここにあります。

おわりに

カウンター4席、テーブル席2卓の光明軒ですが、入れ替わり立ち替わりお客様がやってきます。

先に帰られるお客様が会計時に思わず「安いな。」とつぶやかれていました。

それもそのはず。光明軒の中華そばは、1杯税込550円という破格のお値段です。

庶民の食べ物であったラーメンがいつしかグルメ向けの食べ物になり、有名強豪店も続々と進出している西宮。

そんな中にあっても、昔気質の老舗ラーメン店はあの頃のまま何も変わらずに、今宵も静かに明かりを灯し続けるのでしょう。

INFORMATION

光明軒

  • 兵庫県西宮市西福町7-3
  • 0798-65-0414
  • 17:00~翌1:00
  • 火曜日
  • JR西宮駅より北側(改札右折)徒歩2分