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西宮・人気店の舞台裏 vol.11 阪急夙川~あじさいにかたつむり~

西宮には、数々の有名店があります。一見華やかに見える舞台の裏側には、 数々のストーリーがあります。そんな舞台裏にうかがいます。

阪急夙川駅から北へ徒歩1分、越木岩筋を西に入ったところに『あじさいにかたつむり』はあります。こちらのお店は2022年9月で一周年を迎えられました。静かな店内で頂くケーキは、まさに「癒し」で何度でも足を運びたくなります。ケーキを眺めながら「このロールケーキがかたつむり?」と考えたりしていました。今回はオーナーの由利恵章(ゆり よしあき)さんにお話をうかがいます。

お店をオープンするまで

― まず初めに、こちらにお店をオープンされたきっかけを教えてください。

由利さん:「ホテルのペストリーという部署で働いていた時に、このままホテルに残って働くか自分のお店を持つかって考えた時期があって、その時に自分のお店を持とうって決めたんです。ホテルにずっといて独立される方もおられますが、ホテルでは上の役職になればデスクワークが増えて現場から離れてしまうと思い、僕はホテルを辞めてケーキ屋さんで修行しようと思いました。

― ホテルとケーキ屋さんとの違いは何でしたか?

由利さん:「まず作る量が圧倒的に違いましたね。僕が働いたお店はどれも有名店だったので、量をこなさないといけないのでスピードも求められて大変でした。ただ、お菓子と触れている時間、向き合っている時間をどれだけ取れるかが大事やなって実感しました。」

― 西宮にオープンされたのは、どうしてですか?

由利さん:「最後に働いたお店が(株)元町ケーキだったのですが、芦屋に支店があってよく配達で来ていました。なので土地勘もあるし、業者さんもお付き合いがあり、西宮に決めました。西宮には有名店がたくさんあるので、皆さんお菓子に親しみがあり、受け入れてもらいやすいと思いました。文化や土地柄、客層だったり。この場所が見つかったのも良いタイミングでしたね。」

一度聞くと覚えてもらえる名前に

―『あじさいにかたつむり』の由来を教えてください。

由利さん:「黄金比と言って、人が見て美しいと感じる割合があるのですが、その黄金比が作る対数螺旋曲線を見た時に、あじさいとかたつむりに見えたんです。お菓子の配合にも美味しい割合、黄金比があるんじゃないかと思って、名前に結び付きました。あとは、『 pâtisserie YURI』みたいにはしたくなかったんです。(笑) パティスリーのカテゴリーにこだわらず、自由にやりたいのと、英語やフランス語の名前を付けても印象に残らず覚えてもらえないかと考えました。」

― 確かに、一度聞いたら覚えられますね!

由利さん:「そうなんですよ。あえて日本語の名前を持ってきた方がインパクトがありますよね。覚えてもらいやすいんです。」

― パッケージも素敵ですね。

由利さん:「デザイナーさんに自分のイメージをお伝えして、作ってもらいました。箱にはこだわっていて、サイズも1つしかないんです。だから、この箱に入るサイズで商品を作っています。ロールケーキもカット売りはせず、全て箱に入って冷蔵庫に入っているので、すぐにお渡しできます。袋もそうですが、プレゼントした時に相手に喜んでもらえるようなパッケージにしました。」

― 開ける前からワクワク。開けたらもっと楽しくなりますね!

由利さん:「パッケージは春夏秋冬とデザインを変えています。夏は涼し気に、こちらは冬用。4パターンあります。」

― 季節ごとにチェックします!

こだわりがいっぱい詰まっています

― いつ来ても、どれにしようか迷ってしまいますが、商品のこだわりを教えてください。

由利さん:「基本的に巻き置きはしていないんです。半完成品を置いておく場所もないし、僕のこだわりとしてお店の差別化をはかるのに、ロールケーキは焼き立てを巻くことをコンセプトにしています。売れては作り、売れては作りとパン屋さんみたいなことをしています。出来立てのものを食べてもらいたいんです。」

― ふわふわ系がお得意ですか?

由利さん:「そうですね。素材を生かすと言いますか。卵と牛乳、お砂糖、粉で作っているんだけど、同じものを作っても配合の違いで食感が変わり、これだけ違うものになるんだよと言うのが売りです。」

― クリームが多いのかなって思ったのですが、全くしつこくなくて軽いですね。

由利さん:「そうですね、それが黄金比です。生クリームも1種類ではダメなんですよ。ロールケーキが一番の自信作ですが、プリンやチョコバナナロールもおススメです。冬場は蒸し焼きショコラを出していて、夏場はちょっと重いかなって思ったのでシート状に焼いて巻いて出しています。今年は1周年の記念に早めに蒸し焼きショコラが出ます。チョコレート本来の風味を味わってほしいですね。

― オープンから1年が経ちましたが、どんな1年でしたか?

由利さん:「バタバタでしたね。(笑)とりあえず手探りで必死で、もう1年経ったのかって感じです。雇われていた時とは全然違うので、毎日『どうしたら良いのやろ』って試行錯誤していました。ただ、お客様に恵まれて助けて頂きましたね。」

― 自分のお店を持ったほうが楽しいですか?

由利さん:「どうでしょうね、まだその境地まではたどり着けていないですね。(笑) 大変な方が勝っちゃってる。忙しさを楽しめれば良いんでしょうね。」

― 最後に、今後の『あじさいにかたつむり』を教えてください。

由利さん:「テイクアウトが多いので、もう少しイートインのアイテムを充実させたいですね。例えばアフタヌーンティーセットみたいなのであったり。ホテルにいたので、そういった盛り付けがまた出来たら良いなって思います。映えるのをやらないと。(笑)」

― SNSで広がっていきそうですね。きっとワクワクするような盛り付けなんでしょうね! 楽しみにしています。

アップルパイとプリンをテイクアウトしました

箱にぴったり収まった四角いアップルパイは、アーモンドクリームの上にジャムが重なり、スライスしたリンゴが乗せてあります。煮たリンゴではなく素焼きにしているのは、シャキシャキした食感を楽しんでもらうためだそうです。パイはサクサク、りんごの酸味がさわやかでおいしいです。軽く温めてから頂くのがおススメだそうです。プリンは、コロンとしていて見た目が可愛いですね。上の部分はカステラ生地になっていて、スプーンを入れるとシュワっと音がします。この音にテンションが上がります! 優しい甘さが良いですね。

取材を終えて

あじさいにかたつむり」さんのロールケーキはとても優しくて、ふとした時、癒されたい時に食べたくなります。一度ハマると同じものばかり食べてしまい、いつもチョコバナナロールをオーダーしていましたが、アップルパイやプリンもおいしかったです。白を基調にした落ち着いた空間で、のんびりと美味しいケーキを味わってください。

INFORMATION

あじさいにかたつむり

  • 西宮市相生町6-4 エメ夙川 1F
  • 0798-74-5377
  • 10:00〜18:00(なくなり次第終了)
  • 水曜日 火曜日不定休  臨時休業あり
  • 阪急夙川駅より北へ徒歩1分
  • https://www.instagram.com/ajisainikatatumuri/