阪神西宮｜超ビッグ250gロースカツセット850円！の店

一月十日の福男選び（開門神事）で有名な西宮のえべっさん（西宮神社）。その門の真ん前にある「食堂せかい」は、国籍不明な謎の雰囲気とボリュームたっぷりのランチで知る人ぞ知る名店です。食欲の秋も終わりに近くなったある晴れの日、しっかりとおなかを空かせて訪ねてみました。

中華ひるねの二階のお店

西宮神社の南東角の信号を東へ渡るとすぐ。国道43号線沿いの「中華ひるね」の二階にあるのが、目的のお店「食堂せかい」です。なんというか、名前からしてただものではない雰囲気が漂っていますね。意外にも自動のドアが開くと、いきなり階段です。これが本当に「いきなり」なのでご注意ください。

さほど広くない店内は、テーブル席と窓際のカウンター席が半々といった感じです。お酒のボトルが端々にあって、やや暗めの照明なのですが、南西向きの広い窓に面したカウンター席に座ると太陽の光が降り注いできます。結構まぶしいです。

超ビッグ250gロースカツの大迫力

写真入りの大きなメニューを開いて、「超ビッグ250gロースカツセット」を注文します。窓の外、えべっさんの森を眺めながらフォアローゼスのグラスでセルフサービスの水を飲んでいると、来ました来ましたロースカツ！予想通り、迫力満点です。

大きめのお皿の半分ほどを占めるその面積。さらに驚きの厚さ。それが味噌汁とサラダ、小鉢のきんぴらごぼうを従えて、税込み850円というのが信じられない威容を誇っているのです。

衣はざっくり、押し寄せる豚肉感

別の器で用意されたソースに「だばっ」と浸けて、大きめのお茶碗に山盛りになったご飯の上に着地させて、わしわしと食べ始めます。安いランチのとんかつにありがちな成型肉なんかではなくて、これはしっかり「肉」です。肉々しい味がします。押し寄せる豚肉感です。衣はさっくり、というより「ざっくり」しています。パン粉の番手（？）がやや小さい感じといいますか、あるじゃないですか、サンドペーパーとかの番手。あれって数字が大きくなるほど目が細かいですよね。普通のとんかつが200番くらいとしたらこれは80番くらいかな、というようなざっくり感です。とろっとしたソースがよく絡みます。

糖質？なにそれ、おいしいの？

ほとんどとんかつ専門店の味に近くて、どんどん箸が進みます。2/3ほど食べ進んだ時、ご飯がなくなりました。おいしいとんかつはとにかくご飯が進むんですよね。とんかつとご飯、それは1+1が2ではなくて3にも4にもなってしまう黄金の組み合わせ。それを前にするともはや「糖質が……」なんていう日常一般的な意識は吹っ飛んでしまいます。「糖質？なにそれ、おいしいの？」って感じです。もちろんおいしいです。そしてこのお店、素晴らしいことにご飯のおかわりが「無料」なんですね。「すんません、おかわりください。半分ほどでいいです」と、ここは少し理性を残した感じでおかわりをいただきます。

幸せな「せかい」に行ってしまう

幸せな時間は過ぎるのが速いです。あっという間に目の前のお皿はペンペン草一本生えない感じにきれいに片付いてしまいました。テーブルの上の、見事に色があせてちょっとこわい感じになっている世界のあちこちの写真を眺めながら、湧き上がる満腹感に身を委ねていると食後のコーヒーが出てきました。そう、ここのランチはこの値段で、コーヒーもしくは紅茶も付いてくるのです。これはちょっと素晴らしすぎます。まさに「せかい」です。ザ・ワールドです。DIO様も喜ばれることでしょう（やや意味不明です）。

というような感じで、途中から文章が荒れてしまいました。申し訳ありません。それもこれもみんなカロリーが悪いんです。きっとそうです。幸せな気分の余韻を引きずってお会計を済ませます。これがまた税込み価格なのが本当に素晴らしいです。レジの横に不思議な感じにねじれたスプーンが置いてありました。「これはいったいなんですか？」と聞いてみると、以前お店に来られたマジシャンの方がスプーン曲げをされたので、記念に置いてあるのだそうです。