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阪神西宮|本格的な日本料理が味わえる「点心弁当」!文豪とのゆかりも

 みなさんは「和食」と「日本料理」の違いをご存じでしょうか。いや、先に言ってしまうと明確な定義はありませんが、微妙に違ったニュアンスで使われることが多いようです。

 「和食」は、日本独自の伝統的な食文化を指していて、季節が感じられる旬の食材を使い、盛り付けや器の選び方にもこだわった、見た目も美しい料理のこと。その中には家庭料理なども含まれます。そして「日本料理」は、和食の中でもより洗練されたもの、例えば「懐石料理」や「割烹料理」などのことを言います。

 簡単にまとめると、「和食」は日本の伝統的な食文化の総称で、「日本料理」は「和食」のエリートです。

 今回は、そんな日本料理が味わえる「日本料理 立峰」さんをご紹介します。

文豪・谷崎潤一郎さんに縁のあるお店

 お店は、阪神西宮駅から北東へ徒歩 9分、JR西宮駅から南西へ徒歩 9分、東川沿いにあります。

 文豪・谷崎潤一郎さんの小説「細雪」の一節に「芝居は鴈治郎、料理は播半かつるや」と登場する料亭「播半(はりはん)」。この「播半」は、西宮市の甲陽園にお店を構えていたのですが、2005年に閉店。その「播半」の元総料理長が開業されたのが、この「日本料理 立峰」さんなんです!

 お店の外にはお昼のメニューが出ていました。前日までに予約すればお弁当も作っていただけるようです。

 パーカーを着てきたことに後悔しつつも、さっそくお店に入ってみましょう!

 お邪魔したのは平日の13時頃だったのですが、店内はお客さんでいっぱい。テーブル席は満席だったので、筆者はカウンター席へ案内していただきました。テーブル席は満席ですが、カウンターには筆者のみ。目の前にはベテランの料理長が腕を振るう、なんとも緊張感のある席です。パーカーが悔やまれる…。

 お昼のメニューです。

 コース仕立ての「点心弁当」に、食前酒やお造りも楽しめる「立峰弁当」。前日までの予約で懐石料理もいただけるようです。筆者はお酒が飲めないので食前酒は逆にちょっと…なので「点心弁当」をお願いしました。

 ちなみに「点心」と聞くと中華料理を想像しますが、日本料理での点心は、もともと団子やおまんじゅうなどの間食のことだったそうです。そこから、お茶受けなどの軽い食事のことを点心と呼ぶようになったとか。

 …と、もうお料理が運ばれてきました!

季節の八寸

 「こちら『季節の八寸』です」「ありがとうございます」

 さて、最初に謝っておきますが、筆者に日本料理の知識はございません。お店もかなり忙しそうなので、何のお料理なのかを聞くこともはばかれます。なので、完全に筆者の想像と解釈で説明していきます。どうぞご了承ください。これも最初に言っておきますが、どれもこれもおいしかったです!

 まず「ありがとうございます」とは言ったものの、「八寸」の意味すらわかりません。「8種類の料理を少しずつ」と思ってしまいそうですが、調べてみたところ、もともとはお料理を盛り付けるお皿のサイズから来た言葉だそうです。今では食前酒のアテなどで楽しむ、一口サイズの華やかなお料理を指しているとか。

 ええい! せっかく華やかな料理を出してもらっているので、遠慮なくいただきましょう!

 まずはこちらから。下は魚卵、上は鶏卵かな? 海と陸の卵の夢の共演です。優しい味わいとホロホロ食感が楽しめる一品。右奥に見えるピンク色の料理は、野菜の中に何かやわらかい食感の、甘さを感じる食材が詰められています。料理長を見ていると、何かを裏ごしされていたので…きっと芋でしょう! これも優しい味わい。

 右奥には兵庫県の郷土料理、いかなごのくぎ煮。甘辛く煮られたあの懐かしい味わいです。うまい、そしてご飯がほしい。手前にはゆり根。ホクッとした食感と優しい甘さが後を引きます。

 そしてこれは…しらうおの握り! シャリに細工があって、春らしくピンク色に染まり、梅のような酸味を感じる優しい味に仕上がっています。これもうまいなぁ。

御弁当、お吸い物、ご飯

 そしてメインが登場! おー! とにかく美しい! 色合いにも春らしさを感じますね。

 こちらは「さくらご飯」。これはもち米が入っているのかな? もっちりしたご飯にほのかに桜の風味を感じます。奈良漬けも薄くスライスしてあるので、お酒が苦手な筆者でもおいしくいただけました。何ともお上品。

 お吸い物に入っているのは…白身魚のすり身。何の魚かまではわかりませんが、ものすごく上等なはんぺんのような食感。中にも身が入っていて、なんとも豪華なお吸い物です。塩加減もホントにちょうどいい。落ち着く味わいです。

 それではメインの「御弁当」を探検していきましょう!

 手前に見えるのは湯葉巻き。上等なひろうすのような味わいで、中にはさまざまな具材が入っているので異なる食感も楽しめます。その奥に見えるのは…何かが巻かれた魚。バッテラに乗ってる白板昆布かな? 中身は甘辛く煮られたサバ、もしくはニシンのような青魚です。かむほどにうまみを感じるので、ご飯が進まないわけがない。

 きぬさやは食感までおいしく、エビは丸ごといただきました。薄い味で仕上げられている素材の味を生かした一品。

 たけのこも食感が素晴らしい。ほどよく染み込んだ優しい味わいがご飯を加速させます。串に刺さっているのは鶏のつくね。あー、これもうまいなぁ。ご飯が進む!

 左手は生麩の田楽。生麩独特のふわっとした食感にゆずの香りがアクセント。これはうまい。右手はイワシ。甘辛く煮込んであるのでガンガンご飯が減っていきます。たまご焼きは優しい味付け。日本料理っていいもんですね。

 器に入っているのは山菜の…白和えかな? ごまの風味が効いていてとても上品な一品。奥にちょこっと見えるレンコンは、酢漬けにされていて、ホクホクした食感と酸味が楽しめます。桜麩の食感も楽しい。

 かぼちゃの煮物。飾り切りされていて職人さんの技を感じます。ホクホクしてうまい。奥に見える丸いのはきんかんの甘煮です。ふわっと香るかんきつの香りと甘さがたまらん。

 そして一番下に隠れていたのが鮭のみそ漬けかな? これがものすんごいおいしい! ホロッとほどける鮭の身に染みた深い味わいがご飯消費をガンガン加速させます。売っていれば通販でも取り寄せたいおいしさです。

 おいしかったなぁ。でも、「きんかんの甘煮」がデザートだったのかなと思っていると…

 出てきたのがオレンジのゼリー!

 これがまた仕事が細かくてうまい! わざわざオレンジの皮にゼリーを作るところがいいですね。いやぁ、本当においしいお弁当でした!

 おいしかったです! ごちそうさまでした!

 筆者の胃袋力は回転寿司10皿分弱ですが「日本料理 立峰」さんの「点心弁当」をいただくと、おなかいっぱいです。品数が多いので満足できると思いますが、お酒を楽しめる方なら「立峰弁当」もオススメです!

夜のコース料理も魅力的

 今回は、阪神西宮駅から北東へ徒歩 9分、JR西宮駅から南西へ徒歩 9分、東川沿いにある「日本料理 立峰」さんをご紹介しました。

 ちなみに夜のメニューはこちら。焚合せや焼物など、お昼にはないメニューも楽しめます。

 日本に住んでいながら、普段あまりなじみのない本格的な日本料理がリーズナブルな価格で味わえるお店ですので、ぜひ足を運んでみてください。

 品数が多いので、ちょっとずついろんな種類を食べたい方にもオススメですよ!

※価格、営業時間、メニューなどは当時のものです。詳しくはお店でご確認ください。

INFORMATION

日本料理 立峰

  • 〒662-0918 兵庫県西宮市六湛寺町 2-1
  • 0798-22-7858
  • 11:30-14:00
  • 17:00-22:00 (L.O. 20:30)
  • 火曜日
  • 阪神西宮駅から徒歩 9分、JR西宮駅から徒歩 9分