GOURMET
2020.01.23 2020/02/13
おじまあきら
阪神西宮|昔ながらの雰囲気でボリューム満点のお好み焼きが食べられる店
お好み焼きというと関西のソウルフードですが、最近はこの世界も大手のチェーンが進出していて、いわゆる街のお好み焼き屋さんというのがちょっと懐かしく感じられる、そんな気がします。阪神電鉄香櫨園駅から徒歩五分のところにあるお好み焼き屋さん「ぼくのや」さんは、まさにそんなお店。平日の午後1時過ぎに訪ねてみました。
正しいお好み焼き屋さん
西宮のえべっさんのひとつ西の筋、北へ行くとさくら夙川駅から甲山方面に向かうあの筋と、阪神電車が交差する辺り。フォルクスワーゲンの中古車屋さんの向かいにあるのが、お好み焼き「ぼくのや」さんです。
道路に沿って、まるで「これこそが日本の正しいお好み焼き屋さんですよ」と言わんばかりの見まごうことなきお好み焼き屋さんのオーラを放っています。
さて、引き戸のドアを入るとそこはもう鉄板の前です。店内はカウンターのみの9席。真ん中に広く長い鉄板を挟んでいままさに店主と客とが対峙しております。もう既に場内はソースと粉と蕎麦そしてキャベツと豚肉、いか、えびの香りの坩堝だ。関西における粉もの文化の最終到達地点、まさに場内はお好み焼きのワンダーランドと化している。
「ご注文は」
おおっと!まだ席に着くや着かんやな間隙を縫っていきなりご注文攻撃だ。
「あ、豚モダン、大で」
お好み焼きは豚、いか、えび、の展開、それぞれ小と大があるぞ、さらにモダンはプラス70円というシステムだ、プラス70円でソバが投入されるというまさにストロングスタイルだ。さあ、まずは鉄板に油を引くという地道なグラウンドの展開を経て、おおっと!いま豚肉が鉄板に投げ入れられた!そしてレフェリーのブラインドを突いて、キャベツだ!さらに、これは粉だ!これらが渾然一体となって灼熱の鉄板の上で激しく水蒸気を上げている。なすがままだ、まさに圧倒的な試合運びだ、熟練のコテさばきに凶器攻撃もやむなしだ、まるで前方後円墳の丸い部分のように壮大な粉とキャベツの墳丘が築かれていく、果たしてこれを完食することが出来るのでしょうか、おおーっとぉ!
なんて、途中から昭和の終わり頃のプロレス中継みたいになってしまいましたが、こんな感じにストロングスタイルのお好み焼き屋さんなんですね。だから、デフォルトは「鉄板から直接コテで食べる」というオーセンティックなネイティブ関西スタイルです。しかしラングドシャ(猫舌)で軟弱者の筆者は小皿とお箸をもらいます。
焼き上がったお好み焼きは、目の前でじゅうじゅうと湯気を立てています。ソースを塗って、細かい粉状のかつをぶしを掛けてくれます。また、お好みでどうぞと唐辛子を渡してくれます。しかし、マヨネーズがありません。メニューを見ると、マヨネーズは別途30円というシステムのようです。マヨラーの筆者としては、これは頼まないわけにはいきませんよね(って、知らんがな)。
個包装のキューピーマヨネーズを、ちょっと給食を思い出しながらマヨビームして、そうそうこれこれ、と食べ始めます。
うわっ、これは……。熱い……。しかし、おいしい。まさに「これぞお好み焼き」という感じの懐かしい味です。さくっとした感触と、しっとりしたうまみが絶妙です。しかも、めっちゃ大きいです。隣のお客さんがマスターと話しているのを聞いていると、粉とキャベツの量で大は小の二倍なのだそうです。肉と卵は同じ量なので、トータルでは1.8倍くらいなのだとか。
関西には「むしやしない」という言葉があります。晩ご飯までの間、ちょっと小腹が空いたときなどに、おなかの虫を宥めるために軽く何かを食べること、またその時に食べるもののこと。つまり「おやつ」ですね。たこ焼きとかお好み焼きとかはその「むしやしない」と見なされることが多々ありますが、この大きさはもうしっかりと「食事」です。それもかなり重めの。軽食ではなくて重食ですね(そういう言葉はきっと無いけど)。
熱々のお好み焼きをお皿で冷ましながら半分ほど食べた時、マスターが「ソース足しましょか」と聞いてくれました。追いソースです。これはここで初めて聞かれたような思います。そう、お好み焼きは終盤にさしかかるとソース分が飛んで「ちょっと物足りないな」ってなることがあるんですよね。その辺りものすごく気遣いをされてるなあと思いました。
お店に入って30分ほどの間に、隣の二人が出て入れ違いに三人入ってきて、っていう感じで完全にお客さんが入れ替わりました。その間少し待ちが出たりしてましたから、回転が早いです。お店の横にバイクは置けますが、駐車場はありません。近くのコインパーキングを利用することになります。しかしそれでもしっかり繁盛しているようです。
昔ながらのお好み焼き屋さん。皆さんもぜひ一度お出かけください。
INFORMATION
ぼくのや
- 西宮市宮西町7-2
- 0798-22-5400 予約可
- 11:00~18:00
- 日曜日・月曜日
- 阪神電鉄香櫨園駅徒歩5分、西宮駅徒歩10分