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西宮人 夢を追うZ世代vol.2 CHIN MIFA

西宮で夢を追うZ世代に学生編集部の学生がインタビューする新連載の第二弾!
今回は神戸女学院大学の沈美和さんにお話を伺います。
どんな夢の話がきけるのでしょうか!

沈美和さん

NANA

さっそくですが、よろしくお願いします♪
沈さんはどんな活動をされていますか?

沈さん

よろしくお願いします。沈美和です。
大学3年生で、在日コリアンについて発信活動をしています。

NANA

小さい頃の夢はなんでしたか? どんな子どもでしたか?

沈さん

小さいときは目立ちたがり屋で、今に通じるところがあると思うんですけど(笑)本当によく将来の夢がコロコロ変わる子でした。定番のケーキ屋さん、お花屋さん、学校の先生とか・・・クラシックバレエをしていたのでミュージカルにでたいな、と思っていた時期もありました。あと薬剤師とかも!

NANA

いろいろありますね(笑)今の夢はなんですか?

「みんなが生きやすい社会になったらいいな」

沈さん

すこし大きな目標になっちゃうんですけど、みんなが生きやすい社会になったらいいなと思っています。そのために自分がなにかできないかな、とオンラインでイベントを開いたり、Instagramのアカウントで情報を発信したりしています。

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NANA

なるほど。どうしてその夢を目指そうと思ったんですか?

沈さん

私は在日コリアンで小学校、中学校のとき民族学級というところにいってたんです。

自分を形作る民族学級での学び

NANA

民族学級ってなんですか?

沈さん

公立の小中学校にあって、放課後に一時間ぐらい朝鮮、韓国の文化や言葉をならったり遊びをしたりします。部活動みたいな感じです。私がいたときは朝鮮、韓国にルーツがある子が多かったですが、今はいろんな国籍、ルーツを持っている子がいるので、中国の子が多い地域だと中国の民族学級ができたとか聞いたりします。

沈さん

私が通った小中学校は在日コリアンが多い地域なんですね。だからクラスメイトも先生も在日コリアンの存在を当たり前に知っていて「在日なん?私もそうやねん」くらいの感じ。そういう、差別や偏見のない空間で育ったんです。

でも地元から離れた高校に進学したら、自己紹介するたびに「中国人なの?」「日本語喋れるの?」「韓国語喋れるの?」と聞かれて、あんまり在日コリアンって知られてないんだって肌で感じました。

NANA

地元では当たり前だったことが、実は当たり前ではなかったと気づいたんですね。確かに、私も民族学級や在日コリアンについてよく知らないです。

頭が真っ白になった言葉

沈さん

あと私、高校を卒業してから予備校に通っていた時期があるんです。そのとき「これわからないから教えてください」って先生に質問に行って、その続きで自分のルーツの話になったんですね。私が朝鮮の沈美和っていう名前を使っているのも知ったうえで、「いま君が思ってる朝鮮に対する気持ちとか、大事にしたいなって気持ちとかって無意味じゃない?ほぼ日本人なのに」みたいなことを言われて、頭が真っ白になりました。

沈さん

差別とか偏見あるよって聞いてたけど、実際にそれを自分が受けることになると思っていないのでびっくりして、なにも言い返せなかったんです。でも、ちょっと時間が経って、考えて、自分のルーツを大事にしてるんですって言えなかったのって、なんでしょう・・・。自分ってなに?私ってなんだろう?みたいなことを、ちゃんと向き合ってこなかったというか、考えてこなかったからなのかなぁって思いました。考える必要がない環境にいた、というのもあるんですけど。あらためて、自分ってなんなんやろうって考えたら、やっぱり自分を形作っている大きい要素は、小中学校のときに受けた民族学級での友だちや先生との出会いだったり環境だったなって。

それで、在日コリアンや民族学級のことをよりたくさんの人に知ってもらいたいな、と思って活動しています。

NANA

自分ってなに?というアイデンティティの揺らぎやルーツへの思いがきっかけとなったんですね。

そこから、どのように活動はスタートしたんですか?

インターンシップで出会った先輩とイベントを開催

沈さん

国際交流のサービスを提供する企業のインターンシップで在日コリアンの先輩と出会ったんです。その先輩はすでにイベントや発信をおこなっていました。金美鈴さんという方です。「私がやりたかったことをまるまるやってる先輩がいる‼」と思って(笑)イベントやりたいですって声をかけたら「あ、やろっか~」みたいな感じでした。最初はインターンの社内だけでやっていました。終わったあとに、参加者の方から「すごいよかったよー」とか「同じ在日コリアンの子いるけどなかなか聞きづらいから聞けてよかったー」って言われて、私の体験だったり話に需要があるんだな、と知り、なんか嬉しくなっちゃって。すごく。その反応だったり、話すことが元々好きなので、またしたいなと思って続いてる感じですね。

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NANA

先輩と出会って、自分がしたいことを行動に移していったんですね。運命みたいです。

オンラインイベントではどんなことをするんですか?

沈さん

2月には、アイヌと在日コリアンをかけ合わせたイベントをしました。私と美鈴先輩が主催で、アイヌの関根摩耶さんをゲストとしてお呼びして、対談みたいな感じで。大学の授業で関根さんのお話を聞いて、おこがましいんですけど通じるところがあるなぁと思ったんです。マイノリティといわれるルーツを持っていて、アイデンティティに対してすごく向き合っているというか。自分の考えや、なにをしたいかがしっかりされている方なので、私が呼びたいと思ってお声がけしました。

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アイヌと在日コリアンをかけ合わせたオンラインイベント

沈さん

2時間ほどのイベントでしたが、まず3人の紹介をしてからそれぞれのライフストーリーを話しました。どういう幼少期を過ごして、いまルーツに対してどういう風に思っているのか、などです。また、在日コリアンとは何なのか、アイヌとは何なのかというお話もしました。文化も知れたらいいね、ということでアイヌ語でじゃんけんをしたり、私と先輩は民族学級や朝鮮学校の写真を持ち寄ったり・・・女子会みたいな感じでフリートークも。

よく言われているダイバーシティ、多様性をひとつ提示するというか、マイノリティってくくられる人のなかの個人はこういう人がいるんですよ、というのを知ってもらえる機会を作ったり、参加者同士の交流だったりができたらいいなと思っていろいろやってます。

NANA

楽しそう!アイヌ語でじゃんけん、気になります。写真もいいですね。より想像しやすくなると思います。

毎回イベントには何名くらいが参加していますか?

200件の申し込みが届いたことも

沈さん

回によってまちまちで、最初の頃は10人前後でした。だいたい、私の小中学校時代の同級生、後輩や美鈴先輩と一緒に主催するんですが、美鈴先輩とイベントをしたときは50人くらい来てくださいました。先輩の出身地の方がオンライン取材をしてくれて、地方紙に掲載されたんです。

沈さん

アイヌの回は、関根さんがメディアに出られていて有名な方なのでお申し込みが200人を超えました。実際にこられたのは170、180人くらい。けっこう幅があるんです。いろんな方がきてくださって、同じ年代の方、在日ルーツを持ってる方、教師を目指してたり実際に民族学級で講師をされてたり。ばらばらです。

NANA

申し込みが200人以上ってすごい。それだけ注目されているんですね。参加される方も、いろんな方がいるんですね。

イベントをするときに大変なことはありますか?

沈さん

そうですね、アイヌのイベントだと、私と先輩が主催なので全部やらないといけないんですね。全部というと、イベントの事前準備から広報なども。自分たちが登壇して話すのでスライドや話す内容を精査して、申込フォームを作って、ポスターを作って、広報をして、いただいたお問い合わせの対応とか・・・。話す練習だけではなくて裏方の仕事があります。ゲストの方との打ち合わせや日程調整もですね。先ほど200人くらいと言いましたが、その人数分のメールを送るのは大変でした。

沈さん

あと、イベントの1週間前に「聴覚障害を持ってるので参加はできないですけど、あとで字幕のついた動画をもらえませんか」というご連絡をいただいたんです。先輩と話して、3人が2時間ずっと喋っている動画に字幕をつけるのは大変だろう、イベント後に時間をとってできるかわからない、となりました。でもやっぱり参加したいという意思のある方には参加していただきたいってすごく思ったので、当日参加していただく方向で考えました。最初はスマホの文字起こしアプリを使おうかって話し合ったんですけど、誤字が多いというふうに聞いて、書記の方をお呼びすることに。先輩が学生さん2人を呼んできてくれて2時間ずーっと打ってもらい、随時更新するファイルをリアルタイムで共有して見ていただきました。

沈さん

私もやったことがなくて、本当にこれでいいのかな?どうしたらいいんだろう?と思っていましたが、その参加者の方がイベント後のアンケートで「すごいよかったです」というふうに言ってくださったので、むちゃくちゃ嬉しかったです。やることの幅と量が多くて、頭の中がいっぱいになりながらやりましたが、終わったあとはすごく嬉しくて、いままでの苦労は報われたーってぐらい(笑)よかったです。

NANA

参加した人から前向きな言葉を聞けるのは嬉しいですね。

お話を聞いて準備から本番まで、本当にすべて自分たちでこなされている様子が伝わってきました。

夢のために努力していること、常にアンテナを張る

NANA

夢のために努力していることはありますか?

沈さん

努力って感じではないですが、常にアンテナを張っておく、というのは意識してます。たとえば、イベントを一緒にやりたいなって思う人。あの方にこういうお話したら乗ってくれそう、相談したいなとか。アンテナを張り巡らせてアイディアを考えるようにしています。

NANA

尊敬している人はいますか?

沈さん

尊敬している人は金美鈴さん。在日コリアンの先輩です。一緒に何度もイベントをやっていてお話もして、また一緒にイベントしたいなと思える人です。でもまだ実際にお会いしたことないんですよ。はやくお会いしたいです(笑)

NANA

あっそうか、オンラインのインターンで知り合ったから!まだ実際に会ったことがないんですね。

沈さん

そうなんです、イベントもずっとオンラインでやってたので。

大切にしている言葉、まずやってみる

NANA

大切にしている言葉はありますか?

沈さん

「少しでも気になったらまずやってみる」「やるからには全力で」を行動の指針にしています。やってみたいことがあるなー、なんか気になるなーというときに弱気な自分がでてきて、やらんほうがいいんちゃうかなってなるときもあるけど・・・。もちろん失敗もしますが、やってみて良かったら続けたらいいし、悪かったらやめたらいいじゃない、くらいの感じでやってますね。あと、やるからには全力でというのは、めちゃくちゃ頑張るってわけではなくて、自分が持っているものや今までの経験を全部つかって、やりたいことをより良いものにできるように頑張るって感じです。イーーーー!!!!って頑張る感じではなくて(笑)

沈さん

それからイベントに参加してくださった方のアンケートは、本当にしんどくなったとき、辛くなったときに見返します。「よかったです」「続けてください」とかいっぱい書いてあるんですよ・・・。それを見ると、あぁちょっと頑張らな!まだやれるわ!って思えます。それは大切にしているものに入るんですかね、データになっちゃうんですけど(笑)

NANA

入ると思います!まずやってみる、やるからには全力でっていうのもやっぱり元気がないと、勢いがないとできないですから。大事だと思います。

NANA

最後に、西宮の好きなところを教えてください。

沈さん

漠然としてるんですけど、落ち着いているところが好きです。大阪にはない・・・大阪が悪いというわけではなくて!大阪のわちゃわちゃ感も好きなんですけど、西宮にきて思うのは、ちょっとなんか背筋ピンと伸ばして歩きたいな、みたいな(笑)北口のほうとか閑静な住宅街が広がっていて住みやすそうな町だなって思います。お店だと、イルモンド。雰囲気も良くって美味しいです。

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★トラットリアイルモンド★

NANA

インタビューを通して、私も「みんなが生きやすい社会」について考えてみようと思いました。本日はお忙しい中ありがとうございました♪

沈さん

ありがとうございました♪

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