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西宮・人気店の舞台裏 vol.14 阪急苦楽園口~薬膳料理教室「楓〜L’érable」~

西宮には、数々の有名店があります。一見華やかに見える舞台の裏側には、 数々のストーリーがあります。そんな舞台裏にうかがいます。

夙川からバスで数分、緑豊かで閑静な住宅地に薬膳料理教室「楓〜L’érable(レラブル)」さんがあります。

無添加住宅のキッチンで開かれる教室は、柔らかい日差しのもと、穏やかな時間が流れます。今回は、講師の服部 馨代(かよ)さんに、お話をお聞きします。

教室を開くまで

ーまず、こちらに教室を開いたきっかけを教えてください。

服部さん:もともと保育士をしていたのですが、体調を崩して入院することになったんです。ベッドの上で思い悩んでいるうちに東洋医学に興味を持ちました。当時は中医学や薬膳の本も少なくて、有名な教室は東京にしかない状況でしたね。体調的にも東京に通うのは難しいと思っていたら、「芦屋市に薬膳の先生がいるよ!」と教えていただき、すぐに教室に通いました。いろいろと勉強して、試していくうちに体調もどんどん良くなり、お医者様も「何をしたの!?」と驚くほどでした。今も私と同じような病気に苦しんでいる方がおられると思いますが、私の経験をお話しして、その方々があきらめずに這い上がって、病気から抜け出すお力になれればと思ったんです。

ーそして、ご自宅で教室を開かれたのですか?

服部さん:初めに考えたのは「子ども食堂」でした。市の関係者の方からも場所などの提案をいただきましたが、なかなか条件が合わず、自分のなかでも「食事を提供するのではなく、薬膳を伝えたい。」という気持ちが強くなり、こちらで料理教室を開くことにしました。

薬膳とは?

ー最近では、「薬膳」を耳にすることが増えてきましたが、「薬膳」とは、分かりやすく言うとどのようなものですか?

服部さん:「薬膳」とは、自身の体質を見極めて、体に合ったものを取り入れることですね。そのことによって生活が整っていくと思います。素敵なことですよね。ご自身の体質や育ってきた環境、季節に合わせて食材を選んで組み立てていくのが「薬膳」のお料理なんです。素材は近所のスーパーで買えるもので良いんですよ。その日、その日で体調は変わるので、その時の体調に合わせて食べ物を選ぶのは大切なことですね。病院で処方されたお薬を飲むにも、お薬の効果を弱めるような食べ方をしていてはもったいない気がするんです。私の経験的に、西洋医学と東洋医学を一緒に進めていくのが素晴らしいことじゃないかと思います。

ー「薬膳」という言葉に身構えず、身近な食材で始めることが出来るのですね。ハードルが下がりますね。

お日様のパワーで栄養価が高まる

幸せは、日々の小さな喜びの積み重ね

ー「教室をやっていて良かったな。」と思う瞬間は、どんな時ですか?

服部さん:病院のベッドで天井を眺めている時期が長かったので、こうやって教室で皆さんと接することが出来るということが、とても嬉しいんです。今までの経験をお伝えしたり、生徒さんが「体調が良くなりました。」と喜んでくれたら私の力にもなります。私が勉強してきたことが皆さんにも伝わっていくことがとても幸せです。私の周りにいる方は素晴らしい人ばかりです。一人でここまで来たんじゃなくて、その人たちのおかげでここまで来たので、本当に感謝の気持ちがいっぱいです。これからも皆さんの期待にお応えできるよう、しっかり勉強して「薬膳」を伝えていきたいです。

ー ご自身のためだけでなく、「誰かのために」といつも考えておられるのですね。

服部さん:体が元気になるとそういう風になってきましたね。病気になってから周りの見え方が変わり、何でも感動するんです。例えば、朝日が出てきたら「朝日を見ることができた!」って思えたり、桜が咲くと「今年も桜を見ることが出来た!来年も見られるかな。」って思うんですよ。全てのことが愛おしくて、1つひとつ感じて大事にしたいです。病気になる前は何気なく通り過ぎていた道でも、「こんな花が咲いてる。」とか、「小さい子が元気に遊んでいるね。」って、嬉しくなります。今まで素通りしていたことが見えてきましたね。普通に過ごすことができると言うのは、とても恵まれていることで、幸せですよね。家族みんなで食事をおいしくいただけるなんて、贅沢なんですよね。

ー当たり前のことが当たり前ではない。普通に過ごすことができることに、感謝しないといけませんね。

女性のための薬膳サロン

ーどのような方が教室に来られますか?

服部さん:うちは、女性のための薬膳サロンなのですが、いろいろな世代の方が来られますよ。お子さま連れのお母さまだったり、私よりも年上の方も来られています。もともとはグループでのレッスンを考えていたのですが、最近はプライベートレッスンが増えてきています。「薬膳」は、その人に合った食事が基本なので、ある程度の学習までは皆さん一緒でも良いのですが、深く勉強していくうちに、プライベートレッスンにシフトしていく方が多いですね。体調や体質も人それぞれ違うので、同じものを作って食べると言うのは、薬膳的には無理なんです。
でも、先生になりたかったらオールラウンドに勉強しないといけないし、これからお店を出したい方や教えたい方は、一生懸命勉強されています。私は国際薬膳調理師の資格を持っているので、免許をお出しできるんです。先日も、初級の方が何人か通りました。一期生なので、本当に嬉しかったですね。

ー教室に通う皆さんは、どのような感想をお持ちでしたか?

服部さん:素材そのものの味を大切にしているので、塩もほとんど使わず、味がとても薄いので、初めは戸惑う方もいらっしゃいます。「インスタ映えして、美味しくて。」というものとも違いますしね。ただ、そのような(薄味の)食事に慣れて、病気になる前の未病の段階で体調の変化に気づき、健康になって欲しいと強く思っているんです。

子供のおやつにも、薬膳を取り入れる

服部さん: 先日も、「子供に食べさせる『おやつ』を教えてください。」と言われ、お伝えしたのですが、お子さんが「おいしい、おいしい!」とパクパク食べたそうなんですね。食べ物って本当に大事なんです。お腹が空いてくるとイライラするし、おいしく食べた後と食べる前では表情も全く違いますよね。それで「また教えてください。」なんて言われたら、本当に嬉しいです。

ー改めて、食の大切さを教えてください。

服部さん:身体は食べ物からできていますし、食べ物によって気持ちも左右されます。中医学では精神や感情の状態を「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」の7つに分類し、これを「七情(しちじょう)」と呼んでいます。思ったり思い悩んだり、イライラしたり喜んだり、悲しんだり怯えたりだとか。そういう心情も食べ物によって生まれてくると思います。体の調子が良ければおおらかになれるし、「痛いな。」って思っていたら、ぎくしゃくして優しい言葉が出なかったり。「食」は体を作り、浄化するなど、私たちの全てを司ってくれてるので、本当に大事なものだと思います。食べ物から得られるパワーは、薬では得られないものだと思います。その食べ物の取り入れ方や組み合わせを、その人に合わせて考えるのがとても楽しいんです。もっともっとたくさんの方に広げていけると良いと思います。

自分自身を可愛がることが大切

ーいつも、皆さんのことを考えておられる服部さんですが、ご自身がリラックスできる時は、どんな時ですか?

服部さん:病気をする前はエアロビをやっていたのですが、今は太極拳をやっています。深く息を吸って吐くとリラックスできます。あとは、自然が大好きなので、空を眺めて思いめぐらせたり、色々と想像している時もリラックスできます。五感を働かせている時もそうですね。鳥の鳴き声や土鍋でご飯を炊く「コトコト」とした音を聞いた時、お出汁の香りがしてきた時は、ありがたい気持ちになりますし、とてもリラックスするんです。自分自身を可愛がってあげるのが一番だと思います。ただ、外ばかりではなく、体の内に気持ちを向けることは忘れたらいけませんね。体の外と内の世界を大事にしていきたいと思っています。だから、体に良いもの、しみわたるっていうのかな、そういう気持ちを大事にして食事ができていたら良いですね。

服部さんからメッセージ

ー最後になりましたが、たくさんの経験をされてきた服部さんから、若い世代にメッセージをお願いします。

服部さん:やっぱり、心と体の健康を一番に考えて欲しいですね。やりたいことがあって、その会社を選ぶのだと思うのですが、自分が生き生きと楽しく働けて、そしてリラックスできるような、そういうところを見つけて働いてほしいと切に願います。働く環境が悪いと、どんどん身体をむしばんでいきます。身体の環境も悪くなってしまうんです。若い頃は、会社のために、成果を出すために無理して頑張って、「まだ大丈夫!」と思ってしまうようですが、何年も、何十年もした時に後悔しても遅いんです。そうならないためにも、いつも「自分の体にとって、どんな環境なのか。」ということを、考えてほしいですね。

取材を終えて

服部さんのお話を伺っていると、本当に「食」が大切なのだと実感しました。私たちの体は食べるもので作られている』と、分かってはいるものの、ついついおろそかにしてしまうことがあります。心も体も健康に過ごすことが出来るよう、自分の体に優しいことを心掛けて毎日を過ごしていきたいですね。ありがとうございました。

INFORMATION

楓〜L’érable(レラブル)