EDITORS CHOICE
2023.01.16 2023/01/19
永井アコ
無印良品 阪急西宮ガーデンズ|地域とともに成長する店舗を目指して
「この無印良品が西宮市民のコミュニティスペースになり、そしていつかはライフラインになっていって欲しい」
そう語ってくれたのは、株式会社良品計画 古川順一さん。
1,200坪という関西最大級を誇る店舗面積、全国トップクラスの品揃え、関西初のジューススタンド…と、唯一無二の設備とサービスを兼ね揃えた、2022年9月にオープンしたばかりの無印良品 阪急西宮ガーデンズで、地域担当 コミュニティマネジャーとして働いていらっしゃいます。
「10年後も20年後も西宮にずっと住み続けたい、と思えるような街にしていくお手伝いをしたいんです」
そう話す古川さんの声は、決意に満ちた信念を感じさせる、一切の迷いのないものでした。
この古川さんの信念こそが、「こんな無印良品、初めて!」と来店したお客さんの目を輝かせ、そして帰る時には、「また明日来よう」「次はあの人と一緒に来たいな」と、温かく満たされた気持ちにさせる、最大の理由のひとつなのでしょう。
「地域の人と人を繋げたい」「地域の役に立ちたい」という、もはや『献身的』という言葉がしっくりくる無印良品の取り組み。
売上だけが目的ではない、と地域の一員として貢献する古川さんの原動力は、どこから来ているのか?そして、そんな古川さんが作り上げる無印良品 阪急西宮ガーデンズは、一体どんな店舗なのか?
今回、じっくりとお話を聞かせていただくことができました。
株式会社良品計画 古川 順一 氏
2022年9月にオープンした無印良品 西宮ガーデンズに 地域担当として 立ち上げから関わる。オープン以来、西宮の白鷹、日本盛、大関などの老舗酒造と協力し合い地酒イベントを展開、また西宮の有名洋菓子店を始め、地元企業とのコラボレーションを次々と生み出し、西宮市の広報課や観光課と共に西宮の情報を発信し続けている。
無印良品 阪急西宮ガーデンズの魅力とは?
■無印良品 阪急西宮ガーデンズがオープンして3か月経ちますが、お店の様子はどうですか?
古川さん:たくさんのお客様が、高い期待感を持ってご来店くださいます。
1,200坪あるので、「ここに来れば欲しいものが買える」と思って頂けています。また、毎週イベントを開催しているので「今日は何かイベントやっているかな?」と覗きに来てくれるお客様もいらっしゃいますね。この期待感をずっと保ってもらえるよう、スタッフも努力しています。
■開催されているイベントは、どんなものがあるんですか?
古川さん:今(※2023年1月時点)は毎週火曜日にお子様に向けて絵本読み聞かせを行っています。
お子さんが読み聞かせに参加している間、保護者の方々が店舗内で買い物を楽しむことができるので、とても好評です。
■多店舗には無い、無印良品 阪急西宮ガーデンズだけの特色を教えてください。
古川さん:まずは、西日本最大級の1,200坪と言う店舗面積です。この広さがあることから、唯一無二の品ぞろえを実現しています。
また、関西店舗初のジューススタンドや、『インスタレーション』という五感で感じられる商品展示も無印良品 阪急西宮ガーデンズ 独自の特色です。
ジューススタンドは、とても売れ行きも良く、ご好評いただいております。
その季節に合った旬の果物を使ったナチュラルなジュースや、ソフトクリームが人気です。お子様にフレッシュで健康的なジュースを飲ませたいと望む方をはじめ、ジューススタンドを目当てに来店される方も多いですよ。
独自の視点で商品を販促するインスタレーションは、2か月に1回程度の頻度で展示を変えています。目に留まりやすいので、来店時、インタレーションを見てSNSにあげてくれる方も。今後は、西宮地元のイラストレーターさんやアートディレクターさんに関わってもらう予定です。地元の人からの協力は、こういったところでも欠かせないポイントですね。
■無印良品 阪急西宮ガーデンズならではの特色について、お客様や店舗スタッフから、何かオープン後に反響はありましたか?
古川さん:「広いね」
「どこに何があるんだろうというワクワク感がある」
「絵本読み聞かせなど、イベントを開催してくれるのが嬉しい」
「毎回来るたびに、新しい発見がある」
といったお言葉を実際に頂いております。
ただ、必要なものを買うためのショッピングだけでなく、”エンターテイメント体験”を、この無印良品 阪急西宮ガーデンズに来ると感じて頂けるようです。
■「ここは見て欲しい!」という古川さんの個人的な店舗内オススメスポットを教えてください。
古川さん:一番見て頂きたいのは、サブエントランスです。
サブエントランスでは、西宮にまつわる情報や地域の方に知ってほしい情報を発信する展示を行っています。
9月のオープン時からは、第一弾として『日本酒と西宮』をテーマに展示しました。
西宮市役所の都市ブランド発信課と話し合い、西宮の老舗酒造の方々の協力を得て、西宮地元の日本酒を紹介しています。
壁面にはとっても鮮やかな浮世絵「新酒番舩祝図」(しんしゅばんせんいわいず)を飾り、市役所からお借りした大きな酒樽を置いています。
映像が流れる大きなテレビ画面もあるので、皆さん足を止めてじっくり展示を見てくださいます。
日本酒に歴史秘話が知れるパンフレットや、酒造の場所を知れる西宮探訪MAPは、週末だと100部以上置いてもあっという間に無くなってしまうんです。
無印良品に買い物に立ち寄ったことで、西宮の酒造について知っている人も知らない人も、お酒の作り方や酒造の場所を知ってもらえること、日本酒と関わる機会をもってもらえることは、嬉しいですね。
■どういった経緯で、日本酒の展示をすることになったんですか?
古川さん:日本酒は、西宮の最大の魅力の一つでもあるのに、やはり支持しているのは40代以上の男性が多く、酒造会社としては、若年層や女性にも日本酒を販促していきたいが、どうやって宣伝活動すればいいか分からないと悩んでいらっしゃったことがきっかけです。
そこで、お客様の8割が女性である無印良品 阪急西宮ガーデンズで地元の日本酒の展示をすれば、酒造会社が拡げていきたいターゲット層にも日本酒の歴史や魅力をアピールできるのではないかと思ったんです。
その後、ニシマグさんの座談会などを通して市民の方の意見も取り入れながら、展示方法を決めていきました。
※地域密着型店舗を目指す!無印良品 西宮の子育て世代 座談会 vol.2
2023年の新年1月1日には、西宮の老舗酒造、大関㈱さんと㈱日本盛さんに協力を得て、ふるまい酒として、日本酒の試飲会もする予定にしています!
■次回のサブエントランスの展示のテーマは決まっているのでしょうか?
古川さん:はい!次回は、2023年1月5日より、『西宮の桜』がテーマの展示が始まります。
西宮市内のおすすめ桜スポットをマップで紹介する予定です。
西宮の桜といえば、夙川、苦楽園、香櫨園などが有名ですが、それ以外にも色んな桜の名所があるんです。
特に、桜を楽しめる市内の公園に重点を置いていきます。
西宮にはたくさんの魅力的な公園があるのに、意外と知られていない所も多いんですよね。
公園の周りにはカフェや素敵なお店も多数あるので、そういった地域のお店の販促にもつながればと思います。
また、「こんな桜の名所があるよ、桜にちなんだお酒があるよ」などの情報の他に、西宮の「西宮オリジナル桜」についても紹介します。「夙川舞桜」「西宮権現平桜」「今津紅寒桜」「越水早咲き」、そして2021年に市民の投票によって命名された宮の雛桜(みやのひなざくら)の5種類があること、意外と市民の皆さんご存知ないですよね。
こういった、西宮の桜に関する情報をたっぷりお届けすると同時に、無印良品の桜バウムなど、春の商品も一緒に紹介できれば嬉しいですね。
西宮の観光協会、広報課からの協力を得ながら、「遠くへ行かなくても、西宮で最高のお花見ができるよ」ということを、アピールできたらと思っています。
■座談会など、実際に西宮市民の声を聞いて展示を決めていくとお話されていましたが、他にも座談会などからインスピレーションを受けて実現したイベントなどはありますか?
古川さん:「西宮には、雑誌などに載る有名な工房型洋菓子店がたくさんあるので、無印良品で販売会をしてみてはどうか?」という意見を座談会で頂きました。
その意見を参考に、西宮の洋菓子店を色々訪ねて回ってみたところ、「1月は、洋菓子店の売り上げが下がるので困っている」というお店側の声を聞けたんです。
そこで、西宮の洋菓子店11店舗が集う 西宮洋菓子園遊会と共に各店舗のお菓子が詰められた『にしのみやし洋菓子園遊缶』を作り、2023年1月1日~1月31日までの期間限定で各店舗にて販売することになりました。
無印良品 阪急西宮ガーデンズでは、1/18(水)に販売会を行います。
スタンプラリーなどもあるので、お子様と一緒に楽しめます。
西宮の人気店のお菓子を一度に楽しめるとても魅力的な詰め合わせです。ご自宅用やギフト用に喜ばれると思うので、是非お待ちしております!
にしのみや洋菓子園遊缶の詳しい情報はこちら!
■そもそも、このサブエントランスの最大の目的は何なのでしょうか。無印良品の店舗で、地域の情報を発信する意義とは?
古川さん:もともと、株式会社良品計画は、
「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた、商品、サービス、店舗、活動を通じて、「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献すること」
という企業理念を掲げており、そのために
「商品を販売している店舗が、単なる商売の場としてだけではなく、地域で生活者が集まる場となり、人と人をつなげコミュニティを形成する触媒となることや、スタッフが地域をよくする活動に自発的に貢献する人々の集団となること」
を使命のひとつとしているんです。
この企業理念から、『地域密着型店舗』という、地域への土着化を目指した店舗が全国に10店舗ほどあります。
無印良品 阪急西宮ガーデンズも、地域密着型店舗としてオープンしました。
サブエントランスの展示は、地域密着型店舗として、地域の情報を発信し、地域と人をつなげる重要なスペースなんです。
■他の無印良品の地域密着型店舗も、足並みを揃えて、同様の活動をしながら地域への土着化を目指しているんですか?
古川さん:いえいえ!皆、どの地域密着型店舗も目標は一緒ですが、地域密着型店舗として地域に土着化していくメソッドは、地域によって全く違うんです。
その地域に合ったやり方で、各店舗が地域と人を結ぶ役割を果たしています。
例えば、新潟の無印良品 直江津がある上越市 直江津では地域の高齢化と過疎化が進んでいました。無印良品 直江津は、廃棄デパートの跡地に建てられたんですが、その後『まちの保健室』として、無印良品店舗内に薬局を作ったんです。
高齢化過疎地だからこそのアプローチを、直江津で実行したんですね。
※無印良品公式HP「【直江津】『まちの保健室』グランドオープン|周年祭」もチェック!
なので、 無印良品 阪急西宮ガーデンズ も、西宮に合った地域の役割を果たしていきたいと思っています。
■「西宮に合った無印良品 阪急西宮ガーデンズの役割」とは、どんなものだと思いますか?
古川さん:まずひとつめは、地域と人を結ぶための「西宮のコンテンツの発信」です。
「住みたい街ランキング」で常に上位にランクインしている西宮には、魅力的なコンテンツがたくさんあります。
しかし、県外からの住居者も多いことから、西宮の昔ながらの良さや、地域の情報を知らない人が多く、また情報発信もうまくできていないと感じています。西宮に長く住んでいる人、西宮の地域の情報をより多く知っている人と、県外から来た西宮住民が交わる機会もあまり無い印象です。
そこで、無印良品の役割として、西宮市がうまく表現できていない西宮の魅力を、無印良品のフィルターを通して、人々に発信していきたいんです。
無印良品のフィルターを通すことで、敷居が低くなり、少し堅苦しく感じる「文化や歴史」も、身近に感じやすくなると思うんです。
ふたつめは、人々が集まるスペースを作っていくことです。
西宮北口付近には、人が集まる休憩スペースや、自習スペースがあまり多くありません。
なので、無印良品 阪急西宮ガーデンズを、「本でも読みながらコーヒー飲みたいな」「学校帰りにサクッと宿題したいな」「催し物の会議を皆で集まってやりたいな」という時に、「よし!無印良品に行こう!」と思ってもらえるような、ホッと一息つけるオープンスペースにしていって欲しいです。
実際に、 無印良品 阪急西宮ガーデンズ にはオープンスペースがあり、毎日たくさんの方に利用いただいています。
午前中は小さい子連れの方が絵本を読んだり、絵を書いたりしていたり、おじいちゃんおばあちゃんの集会所になっていたり。そして午後から夜にかけては、大学生が勉強しにきたり、サラリーマンの方が仕事帰りにPCを開けながらコーヒーを飲む姿もよくお見かけします。
■無印良品 阪急西宮ガーデンズにおける「地域密着型店舗としてのゴール」「そのゴールに向けたステップ」を教えてください。
古川さん:無印良品 阪急西宮ガーデンズが西宮市民のコミュニティスペースになり、そしていつかはライフラインになっていって欲しいです。
人が集まり、そこから新たなコミュニティが生まれるような場所となり、「ここに来れば必要なものが全て揃う」と安心してもらえるライフラインのような場所を目指したいですね。
そのためのステップとして、
・お客様が欲しい商品、求める商品を開発し、最終的にはお客様が商品を作り上げていくような関係を作っていく
・生鮮食品などを置いて、地産地消を促進していく
これらのことを頑張っていきたいと思っています。
10年後、20年後も西宮市で暮らし続けたい、そう思えるような街にしていくお手伝いをしたいですね。西宮市に住み続けていたい理由のひとつに、この「無印良品 阪急西宮ガーデンズがあるから」を入れてもらえたら、とても嬉しいです。
■ 無印良品 阪急西宮ガーデンズのお客様、そして西宮市民に向けて、メッセージをお願いします!
古川さん:とにかく毎日、毎週でもお店に来て欲しいです(笑)
私自身、西宮に住み始め、西宮の魅力に気付くことができたので、皆さんにもっと西宮の魅力を知って欲しいと思っています。
そして日々、お客様から「西宮のこういった情報が知りたい」「こんなお店があるから取り上げてみたら?」などのご要望やご意見をいただいています。とても参考になり、地域密着型店舗として非常に嬉しいので、どんどんお話を聞かせてください。
毎日のご来店、お待ちしております!!
古川さん、ありがとうございました!
無印良品が掲げる理念を、見事に目に見える形で阪急西宮ガーデンズの店舗で実現させた古川さん。その原動力は「無印良品の商品をより多く売るため」というビジネスの利益だけから生まれるものではありませんでした。
「西宮をいい街にしたい」「西宮に住む人々の力になりたい」という強い想いと、それを実際に行動に移すことこそが、ひいてはいつか企業の利益となり、成長につながっていくのだということを、今回古川さんから教わることができました。
そして、無印良品 阪急西宮ガーデンズを成長させ続けているのは、古川さんだけではありません。西宮市に住む店舗スタッフが多いため、今後もスタッフの意見もどんどん取り入れ、共に進歩していきたいと、古川さんはお話されていました。
一度訪れれば、魅力がすぐに分かる、無印良品 阪急西宮ガーデンズ。
是非、無印良品の素晴らしい商品を買いに行くだけでなく、サブエントランスの展示を覗きに、イベントに参加しに、そして、「西宮市民のオープンスペース」として、ホッと一息つくために、訪れてみてくださいね。
INFORMATION
無印良品 阪急西宮ガーデンズ
- 阪急西宮ガーデンズ 本館3F 東モール
- 0798-31-0847
- 10:00~20:00
- 阪急「西宮北口」駅より徒歩5分
- https://www.muji.com/jp/ja/shop/detail/046333